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お菓子作りの上手い攻め
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「今日はね、モンブランにしてみたんよ」
甘い香りを漂わせながら台所から出て来た武士の両手には、皿に乗った美味しそうなケーキが一つずつ。
見た目も綺麗で、店に出してもおかしくない出来に見える。
「おぉー!さっすがたけやん、天才!」
こいつは武士と書いて「たけし」なんて読むいかつい名前を持ち、いかにもスポーツマンですというごっつい風体をしておきながら、趣味はお菓子作りというちょっと変わった奴だ。
友人間のあだ名は「ぶし」。名前と見た目のせいか一部の人間には怖がられえている。
親友の俺は小学生の時から「たけやん」呼びを変えていない。多分今こう呼んでるのは俺一人だろう。
「や、褒めても甘いもん以外何も出んから」
あ、照れてる。何だかこっちもニヤニヤ笑いが止まらない。
この瞬間が一番好きだ。
だってこいつがお菓子を作ってる所を見せるのも、作ったものを食べさせるのも、俺だけだから。
「ふふ」
「何笑ってんの」
「美味いなぁって」
「それは、よかった」
武士が笑う。俺も笑う。
「なぁ、これからもさ、食べさせんの俺だけにしてよ」
「んぁ?んー、じゃあお前が俺んとこに嫁げば問題ない」
「俺が嫁ぐのかよ」
「嫌なん?」
「んな訳あるか」
フォークを銜えたまま、俺は即答した。
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[[この想いは墓まで持っていく>28-169]]
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