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憎いはずなのに ---- 俺が殺したかったアイツが切られて、嵐の海に落ちていく。 それを見た瞬間、俺は反射的に荒れた海に飛び込んでいた。 何をやってるんだ……。 嵐の海で意識のない人間を抱えて、岸まで泳げるのか? 第一憎んでいた相手を助けようとするなんて、自分で自分が分からない。 それでも動いちまった以上はやるしかなく、必死で俺は岩場まで泳ぎついた。 息も整わぬまま気を失った奴を引きずり岩場を上へ上へと歩き、波の届かない岩の隙間を見つけて中に入りやっと一息つく。 薄暗い中で奴の上半身から濡れた服を剥ぎ取り、絞ってそれを包帯代わりに腹に巻き付け止血を試みた。 思っていたより傷口は浅く、これで何とかなるかもしれない。 初夏だが濡れて体温を奪われ身震いした俺は、仕方なく意識のない奴を抱きしめる。 いつも余裕の冷笑を浮かべている顔は血の気を失い青ざめていたが、整っていて人間離れしていた。 普段はセットされた髪は濡れて額に張り付き、年相応の若さに見える。 何時とは全く違う初めて間近で見る姿に、俺はつい見入ってしまう。 コイツに近づこうとして、それを疎ましく思った周りの奴に狙われ、俺は仕事も仲間も失った。 その恨みを、直接関係ないコイツを追って殺すことで晴らそうとしていた。 憎まなくては、俺は今日まで生きてこれなかった……。 それなのに必死で助けて、抱きしめたコイツに口付けたいと思うなんてどうかしている。 このままこの腕に閉じ込めてしまいたいなんて……。 コイツが目を覚ました時、俺はどうしたらいい? ---- [[陰間の恋>26-939]] ----

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