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切ない遠距離恋愛 ---- あいつが海外に赴任してから、そろそろ1年になろうとしている。 1年前、あいつの口から海外赴任の話が出たとき、俺は素直に喜んだ。いつか海外で働きたい、とあいつはよく言っていたから。 「良かったじゃないか、行って来いよ!」 俺がそういうと、あいつは本当に嬉しそうに笑ったのだった。 それからばたばたと話は進み、俺の誕生日に、あいつは日本を飛び立っていった。 最初の2ヶ月位は、寂しいなんて思わなかった。寂しいと思わない自分を、ちょっと薄情だと思ったりもした。 だが、3ヶ月目にはじめてあいつからの手紙が届いたとき、どうしようもなく切なくて堪らなくなった。あいつの元に、それこそ飛んで行きたかった。 恋い焦がれて堪らないのだと、突きつけられてしまった。 それ以来不定期に届くその手紙を、俺は待ちわびている。 今日は、友人とその彼女の結婚式だった。 友人の海外赴任が決まり、けじめを着ける為にプロポーズしたのだという。妻なら、一緒に海外で暮らせるよう取り計らってもらえるのだとも言っていた。 友人も彼女も幸せそうで、ほんの少し眩しかった。 帰る道すがら、俺は、あいつのことを考えていた。 あいつは、俺について来いとは言わなかったし、俺もついて行くなんて言わなかった。 その事に、どうこうなんて思ってはいない。ただ、無性に、あいつに会いたくなってしまった。 だから、アパート帰りポストを開けたとき、目についた封筒に堪らなくなった。 郵便受けの中身をひっつかむと部屋にかけこむ。荷物を放り出し、着替えもせずに震える指で封筒を開けた。 元気かから始まるあいつの手紙。上手くも下手でもないあいつの字。 書いてある内容はあいつの仕事のことや生活のこと、そして俺を気遣う言葉。結びは決まって、「愛してる」。一つ一つが、あいつを俺に想起させる。 そして、今回はじめてついていた追伸に。 「早いかもしれないけど。誕生日おめでとう、明」 の言葉を見つけて、俺はついに手紙を抱いて泣き崩れた。 切ない。寂しい。恋しい。辛い。会いたい。会いたい。会いたい。 会いたいよ、悟。 ---- [[浦島太郎と亀>26-689]] ----

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