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無意識な惚気 ---- 例えばそれは、彼にとっては昨日の晩飯の話をする位の感覚なんだろう、と思う。 「昨日さー、先輩とゲーセン行ったんだけどー。あの人ガンゲーめっちゃ上手くて」 コイツとその先輩がデキてるってのを、俺は知っている。 たまたま、本当にたまたま、公園でキスしてるのを見ちまったから。 「何か俺が3倍くらいお金使っちゃったんだけどさー」 「お前が下手なんじゃね?」 「ちげーって」 脚を広げて逆向きに椅子に座り、だらりと俺の机に上半身を預けて愚痴る相手をからかってみる。 するとコイツは、目線だけをこっちに寄越しながら、頬を膨らませて反論してきた。 高校生にもなって、ガキかっつーの。 「でもさー、ガンゲーやってる時の先輩って、むちゃくちゃかっこいいんだわ」 頬の膨らみを吐き出して、今度はだらしなく笑いながら、コイツは言う。 「何かさー、年上の迫力っての?目とか鋭いし。俺が女なら惚れるね」 ほら、でた。 いつものノロケ。 本人は自覚していないようだが、本気でその先輩とやらにベタ惚れらしい。 人の気も知らないで、と内心嘆息するが、毎日のようにノロケたコイツの表情を見れるのは、悪くないと思った。 ---- [[人外(妖怪、妖精、幽霊、宇宙人なんでも可)>12.5-779]] ----

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