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無職者と新幹線で飛び回る有職者 ---- 「あへ……お前でかけんの…?」 朝早くからバタバタと用意をしている恋人に、布団の中から男が声をかけた。 「昨日言っただろうがー。今日から出張!帰るの明々後日な」 「あれま……気ぃつけろやー」 寝癖がついた髪をぼりぼり掻きながら、パジャマのままで玄関まで出迎える。 この男にゃ急ぐ必要は無い。どうせ仕事も何もあったもんじゃないのだから。 「俺が留守ン間の戸締りとか頼むぞ。俺が居ないからってご飯は適当にするなよ?後それから…」 「おーい、時間いいのかぁ?」 「うぎゃああ!やべぇ!んじゃ行って来ますッ」 「あ、ちょっと」 「え?何?マジで俺、新幹線の時間やば……」 きっちり着込んだスーツな姿の相手の、ネクタイをグイっと引っ張る。 ちゅっと軽く口付けてから、男はやんわりと笑んだ。 「行ってらっしゃい。毎回言ってるけど土産はいらねぇからな?お前が無事に帰ってくりゃそれでいーんだから」 「……ハイ。行ってきます」 少しばかり赤くなりながら、スーツ姿の男は扉を開けて出て行った。 だが結局彼は出張先で土産を買ってしまうのだ。 帰ってきたらいつも風呂を沸かしていてくれて、ご飯もたっぷり作ってくれている。 そんなあいつと、この特産物を一緒に食いたい。 そんなことを、考えてしまうから。 ----   [[米国×日本>2-269]] ----

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