「12.5-519」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

12.5-519」(2013/08/15 (木) 01:12:42) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

剣豪×ごろつき集団 ---- 「嗚呼、清左衛門様、格好良いやなァ…」 「“我が刀の錆となるか”…なぁんつって、渋いやねェ」  細く開けた襖の向こう。  皆で顔つきあわせてきゃいきゃいと頬に手ェ付けて騒ぐ様は、芝居見物を終えた町娘と大差ない。  しかし、その風貌はと言えば頬にゃ刀傷、髭は不精に伸びてやがるし、可愛さとは無縁の顔の造作。 「…おい、おめェら…」  頭領である俺の声も聞こえねェのか、浮かれたそいつらはあの憎き清左衛門の言葉を反芻してやがる。 「なァ、清様が俺を斬ろうとした時の台詞は“観念せよ”だったか?」 「いや、それは俺ン時だ、お前の時は、そうだな…“地獄に落ちよ”じゃあなかったか?」 「嗚呼!清左衛門様に斬られるんなら地獄にだって落ちますよ、ってなもんだな!」 「俺ら一人一人に声かけてくれる辺りに優しさ感じちまうよな」  …あいつらは一体全体何を言っていやがるんだ?  俺にゃァ到底理解できねェ。頭がふらつくようだ。  ふらつきついでにガタンと襖に手を付けば、ようやくあいつらは俺に気付いたようだ。 「アッ!お頭!」 「すいやせん、清左衛門の野郎にまた不意打ち食らいやして!」 「今度こそ!今度こそ清左衛門の野郎の息の根止めてやりやすんで!」  さっきまで“清左衛門様”“清様”と言っていたその口で何を言ってやがる。  そう言ってやりたかったが、声が出ねェ。  そんな俺に気付くこともなく、あいつらは声を揃えてこう言う。 「俺らァ、清左衛門の野郎のことを一刻たりとも忘れたこたァございません!」  嗚呼、そうだろうよそうだろうよ。  俺は痛むこめかみを押さえて、今後のことを考えるしかなかった。 ---- [[ゆとり教育>12.5-530]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: