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受けを溺愛する攻め ---- 朝起きるとまず、一日の天気よりあいつの体調が気になってしまう。 あいつは昔から妙に風邪をひきやすい。気付くといつも風邪をひいている。 365日のうち風邪ひいてない日の方が少ないんじゃないかってぐらい常に風邪をひきかけている。 子供の頃からずっとそうで、更にそれを今までずっと近くで見てきたことで、 俺の一日はいつの頃からかあいつの体調を気にすることから始まるようになったのだ。 一度それを知り合いに話したらドン引きされたし、俺も自分でちょっとどうかと思うが、 それでも今日も今日とて俺は起きた瞬間からあいつの体調のことを考えてしまっている。 テレビをつけたら新人のお天気お姉さんが今日はとてもあたたかいですよと笑顔で教えてくれていた。 あったかい、か……それなら大丈夫か。でも逆に汗かいて冷えたりしないだろうか。 あいつが風邪をひきやすいのは体質的なものもあるが、同時に奴自身の不注意のせいでもある。 だからますます心配で、目が離せない。これもまた、子供の頃からずっとだ。 いつの頃からか俺は自分の荷物に加え、あいつのための常備薬から非常食、 防寒グッズにポケットクーラー、救急セットに果てはソーイングセットまで詰め込まれた あいつ専用の必需品諸々詰め込み袋を常に一緒に携帯するようになった。 高性能トランシーバーもあるし片方は奴に持たせてある。万が一どこかで遭難しても安心だ。 これについても知り合い連中にドン引きされたし、俺自身も以下略 こんな俺を見て、あいつ自身はものすごく楽しそうに笑う。 「お前ってガキの頃から本当、心配性だったよな」と言って昔を懐かしんだりもする。 俺が心配症なんじゃなく、お前が人に心配させる奴だからだと俺はそのたびいつも思うが、 実際には何も言えない。なぜなら笑うあいつは必ずこう言うからだ。 「お前のおかげで俺は一生、なにがあっても生きてけるんだろうなあ」 勝手なこと言いやがってと呆れながらも笑顔につられて一緒に笑ってしまう俺はきっと、 それこそあいつの言うようにこれから一生、周囲にドン引きされ続けるんだろう。 けどそれでもいいと、今は本気でそう思う。 ---- [[喫茶店にて>12.5-499]] ----

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