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ヤリチン男にお仕置き ---- 部屋に入るなり、佐野はいきなり俺を突き飛ばした。 「ちょっ……! 何すんだよお前!?」 不意を突かれて床に倒れ込む俺の上体を、大きな手が押さえ付けてくる。 痛みに顔をしかめる俺を、佐野は無表情に見下ろした。 「お仕置きだ」 「はぁ?」 事態が飲み込めず、俺は十年来の親友をまじまじと見上げた。 お仕置き、という言葉が何故こいつの口から出てくるのか。 しかも俺にはそこまで悪いことをした覚えもなく。 「お前がヤリまくって捨てた女達の代わりに、俺がお仕置きするんだよ」 こいつに不似合いな乱暴な言葉。吐き捨てるような口調。 今まで見た事もない佐野の姿に、不安が沸き上がる。 「な、何で? だって俺の女好きなんて今に始まったことじゃないし――」 「お前、相手の本当の気持ち分かってる? 口には出さないけど、 どれだけお前のこと好きなのかって……分かってないだろ」 そう言われて胸がちくりと痛む。 『恋人じゃなくてもいい』『いちど寝たからって束縛したりしない』 彼女らの言葉をそのまま都合良く受け取り、体に飽きれば何の未練もなく捨てた。 佐野はそんな俺の行動に苦笑しながらも、黙って見ていたはずだった。 「そ、そんなこと今言われても……。お、お前だって俺の好きなように すればいい、って言ってただろ!?」 みっともなく言い訳する俺に、佐野は僅かに苛立ったような顔をした。 「……やっぱりお前は何も分かってない」 じゃあ、お前には分かるのか――そう言い返そうと開いた唇は のしかかって来た佐野の唇で塞がれた。 ---- [[熱帯夜>13-159]] ----

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