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夏休み ---- クーラーの効く部屋。テレビの音。それ以外は虫の声も聞こえない。 はじめて、一人で過ごす夏休み。 去年までは当たり前のようにお前が隣に居て「宿題教えてー」とか言いながら笑ってたのに。 あの頃は、ほんとにいつでもそばにいたのに。 はずみでキスしてみたり、……もっと凄いことしてみたり、些細な事が何一つ今では当たり前じゃなくなってしまった。 いつも、邪魔だとかうざいとか疲れたとか、今思えばひどいこと言ったかもしれない。 でも一度も、本当に嫌だった事なんてないってお前は知ってた? 知らないだろ。毎回捨て犬みたいな目ぇして。……ま、いつも折れてた俺も俺だけど。 でもあの頃は、人の気配のない部屋がこんなに寂しいなんて思わなかったんだ……。 正直、あの日常がずっと毎日続くと思ってた。 おかしいよな。たった2年しか一緒にいなかったのに。 でも、2年も一緒に居たら情もわくってものだろう? あんなに毎日一緒に居たら、感覚も麻痺するじゃないか。 本当にろくでもないよ、ずっと寮で同室なんてさ。しかもお互い帰省できないと来たもんだ。 普通、両親ですらここまで一緒にいないぞ? さらにろくでもないのは、3年になったからって1人部屋になったことだ。 勉強に専念するため……って専念できるか馬鹿。 お前がいたら勉強に専念できるかって言うとまた難しいけどな。 で、夏休みに入って全然会わなくなってから、結構俺はイライラしてきていると言う訳だ。 今も寮にいるのは分かってるんだぞー? 巧みに俺を避けてるのはなんなんだ。目が合うと赤くなるのは何故なんだ。 最近気持ち悪すぎるぞお前。イライラするんだよ。 とりあえず、俺の方からお前の部屋に押し掛けてやろうと思うんだけど。 お前が存在すら忘れているだろう宿題の答え手土産に持って行ったら、お前、また去年みたいに笑ってくれる……よな。 ---- [[狭い密室で2人がぎゅうぎゅう詰め>11-339]] ----

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