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大学生同士 ---- 久しぶりに山口と遊べた。 山口とは学部が一緒ってだけで、ゼミもサークルも、ついでにバイトも違う。 なのになんとなく気があって、飯食ったり買い物行ったり、なんやかんやと結構つるんだ。 それも三年生になると、山口のサークルが忙しくなったり、俺がバイトを増やしたりしたせいで、学校以外で会えない日が続いた。 友達って理屈じゃない。山口とは接点少ないのに、昔のテレビとか、学校のこととか、テレビや時事ネタ、漫画の感想、話してて止まらなくて、楽しい。 他にいないんだよな、こんな奴。 メールじゃ足りない。会いたいなぁ。一緒に遊びたい。 そう思ってたら山口が誘ってくれた。 『今日バイトの後、家に行っていい?一時くらいになっちゃうけど』 一時ってのは夜の一時だ。全然OKだった。 今日は土曜日。だから明日は日曜日で、もし山口にバイトが入ってなければ一日遊べる。 「俺明日バイトないの」 二時をまわってからやっと来た山口は、ニコニコ顔でスーパーの袋を差し出した。 もう俺はそれだけでテンション上がって、走り回りたいくらいに嬉しくなる。 食って、飲んで、テレビ見たりゲームして、朝になって眠くなるけど寝るのが惜しい。 それでも耐えられなくなってふたりでひとつの毛布に足突っ込んで寝て、起きたらまだ一時でまだ山口がいる。 楽しい一日がまだ続いている。そう思うとまた嬉しくなった。 今日を逃すときっとまたしばらく会えない。早く、いっぱい話したい。飯食いに行きたい。ビデオ屋とかも行きたい。 山口が起きるのをボーッと待ってるのが、もどかしい。 起こしてやろう。そう思ってヒゲがのびた顔をつっつくと、山口は顔をしかめて「ウーン」と寝返りを打った。 「久敏、起・き・て。朝よン」 できるだけ可愛い声でささやく。唇に触る。ちゅっ、と口で言いながら。 彼女のいる朝、という冗談。前にもやったことがある。 お互い彼女なんかいないから、想像の世界の空しい遊びだ。 山口、起きろ。起きて早く、キモイことするな、とわめけ。 ドキドキしながら待ってたら、抱きしめられた。 寝ぼけた山口の力が強い。 チクチクする頬をすりよせてくる。酒くさくて嫌だ。唇があたりそうになって、ひやりとする。 「ばか、山口、やめろって」 俺は彼女じゃない。枕でもない。 押し返すと、足までが絡んできた。重たいすね毛の生えた足が、同じくパンツ一枚の俺の足の動きを封じてしまう。 たぶん山口は起きている。起きて冗談返しを仕掛けてきている。 ようやくこの状況を把握した俺は、隙をついて腹に一発かましてやった。 「うえっ!」 悲鳴を上げた山口は俺を解放する。 「ばか、山口、キモイんだよ!」 ゼイゼイ言いながら俺が笑って見たのは、泣きそうな山口の顔。 「……ごめん」 そう言って山口は毛布を頭までかぶってしまった。 丸まった背中は、なんと震えている。 「おい……大丈夫か、山口ってば……なぁ」 毛布越しにさすると、体を強ばらせるのがわかった。拒絶だ。 どうやら俺のパンチが強すぎたらしい。そんなつもりじゃなかったのに。 俺がなすすべもなくおろおろしてると、かなりしてからやっと、山口が「トイレ」と出てきてくれた。 トイレから帰ってきた山口は俺を見もせずに 「腹……痛かったから……ごめん」 とぼそぼそ言ったので、俺はほっとして謝り倒した。 それから飯を食いに行った。 山口はいつものように面白くて楽しくて、俺は、やっぱり山口は親友だなぁと思った。 ---- [[お説教>26-469]] ----

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