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映画監督と俳優 ---- 彼を見た瞬間、「撮りたい」と思った。 容姿のよさだけじゃない。 カメラを通しても伝わる華やかさ、それが彼にはあった。 何度も彼と話し、しつこく口説き続け、 他の仲間に笑われながら、ようやく彼に許可を取る。 自分でカメラを回し、演技に慣れぬ彼を追い、 日を重ねるごとに魅力を増す、彼の良さを全て閉じ込めた。 意気揚々と学祭で流したそれは、思わぬ反響を得た。 月日が流れ、その映像が切欠で、彼は俳優に、自分は映画の監督になった。 とはいえ、泣かず飛ばずの作品しか作れない自分には、ドル箱俳優となっていた彼を出演させるほどのお金が出せない。 かといって、他の人が撮った彼を、スクリーンで見るのも嫌だった。 自分なら、彼をもっと魅力的に撮れる。 悪役だろうと、正義の味方だろうと、 主役だろうと、脇役どころか端役だろうと、 彼の良さを引き出せるのは自分だと、自負していた。 ある日、彼から連絡があった。 「お前、まだ監督とかしてる?」 頷くと、更に彼は言った。 「久しぶりに、俺を撮らない?」 昔、テープが擦り切れるほど見直した、眩しい笑顔で告げる彼に、自分はしばらく見惚れたあと、頷くしか出来なかった。 ---- [[先生×生徒>26-229]] ----

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