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ネット恋愛
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「ううわ、ほんとに待ってんじゃん」
「マジで!」
建物の影から覗き込むと、そこには青いマフラーをした高校生くらいの少年がいた。
腕時計と改札に視線を行ったり来たりさせて、そわそわしている。
写真をメール送ってもらって見たことがあるから間違いない、“タクヤ”だ。
「・・・自己嫌悪ー。」
「今更すぎる。覚悟していってこい」
「お前絶っ対楽しんでんだろ!なんで・・・あんなことしたんだ俺は」
その場に膝をついて座り込みそうになるのを必死でおさえる。
そんなことをしたらもう一生そこから動けそうにない。
「だよなぁ、タクヤ君だったら別に女子高生のふりとかしてなくても
友達になってくれてたと思うよ」
「20過ぎの男がお菓子作りのブログやってたらキモいだろ」
「んー・・・そうかあ?」
「つかさ、あいつ俺の料理褒めてくれたんだよ!」
「・・・まあブログの写真だけじゃ味は分からないもんなあ」
田中は実物の味を思い出したのか、口に手をあてて顔を青ざめさせた。
「“ミカさんのクッキー、とても美味しそうですね!”だってさ・・・!」
俺の緩みきった顔を見て田中は心底嫌そうな顔をした。
“キモい”と言わなかった所に田中の愛を感じる。
「タクヤ君のメールの余韻に浸ってる場合か」
「行かなきゃダメか?」
「今更断れんの?タクヤくんわざわざ新幹線で来てんだぞ」
「ですよね・・・・・・」
「そろそろ本気で怒るぞこんな朝早く呼び出しやがって」
「・・・よし行ってくる」
「そうか。じゃー俺帰るわ」
「え!?」
「なんだよ」
「俺がタクヤと仲良くしちゃったら、田中寂しいじゃん?」
「・・・」
「聞こえなかったフリするなよ、寂しいんでしょ」
「ああ寒さで頭おかしくなったのかと思った。残念ながら自分でもビックリするほど寂しくない」
「だよね寂しいよね。だから今日は三人で行動しよう」
「人の話聞けよ。結局お前が寂しいんじゃねえか」
「今日は、一緒にケーキ屋さんめぐりしてレシピ研究する予定。」
「それは俺が甘いもの嫌いと知っての狼藉か」
「うん!」
「へえ。帰る」
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[[俺のプリン返せ!>12-079]]
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