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遠距離恋愛の二人の深夜の長電話
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「もしもし、何してんの」
「お前と、電話してる」
「そっか」
「そうだ」
あいつはもともと無口で、普段は電話なんかしない。
むしろ電話嫌いと言っていた。
普段の会話も用件を伝えたらすぐ終わってしまうような人間で、
とりとめのない話は苦手だとも聞いたことがある。
「そっちの暮らしはどう?」
「寒い」
「他には?」
「寂しい」
「そっか…声聞くと、会いたくなるね」
「俺はいつでもおまえに会いたいよ」
「どうしたの、急に」
「俺に空間移動の力があれば…」
「いやいやいや、あ、正月にはこっちに帰ってくるんでしょ?」
「ああ。26日には帰れる」
「今月の?」
「明日の朝、電車を乗り間違えてうっかり新幹線乗ったらどうしてくれる」
「駅のホームで笑顔で出迎えてあげるよ」
笑いながら吐き出した息が白くなった。
手も少しかじかんでいる。でも不思議と寒さは感じなかった。
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[[「全部あげる」×「全部欲しい」>12-029]]
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