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脱糞 ---- 「しかし雅之くんも大人になったねえ」  おっとりとしみじみと話し出す恭介さんに、オレはわずかに心の中で身構えた。  この人がこういう話し方をするときには、必ず何かある。 「そうですか?」  素知らぬ顔で応じながら、オレはそっと恭介さんのシャツのボタンに手をかけた。  せっかく隙を見て押し倒したのだ。このまま何もしないわけにはいかないだろう。  笑顔のままだった恭介さんは、その動作にわずかに眉根を寄せた。  同意の上ではないとわかっていても、この欲求は収まらない。  前々から想いを告げていたにも関わらず、のらりくらりと変わらされて、  それならいっそ離れてしまいたいとも思ったほどだが、それを恭一さんは許してくれず。  このまま何もないまま、一緒にいるのが僕の幸せなんだ、と笑った笑顔はとても素敵なものだった。  だが、それではオレが蛇の生殺し状態だ。  ビバ実力行使。  ボタンを全部外し終わっても、恭介さんはやんわりとした抵抗しかしていない。  これならいける。むしろ、待たせていたぐらい?  そんなことを考えて、頭もそして下半身もヒートアップするオレに、  恭介さんはにこにことしたまま美声を紡いだ。 「1995年5月11日。君が7歳の頃だったね」  その言葉に、オレの手はぴたりと止まる。  恭介さんは懐かしむように目を細めたが、オレにとってはもっとも忌まわしい記憶だ。 「漏らしてしまったと君が泣くから、てっきりおしっこの方かと…」 「わああああああ!」  形の良い唇から出る単語を遮るように、オレは大声を出した。  しかし、恭介さんはさらりと続ける。 「あのときは大変だったんだよ?僕も中学校上がって間もない頃だったし…。  叔父さんや叔母さんにばれないように全部片付けるの」 「ううう…」  オレの両親に悟られないようにしてくれた恭介さんは、その当時オレの神だった。  小学校一年生で恥ずかしさで死ねるかも、という感情を持った始めてのことだ。  よもやこれからというときに、そのことを突きつけられるとは。 「動けなくなってうずくまってた君がねえ、僕を押し倒すなんて…」  大きくなったんだね、と笑う恭介さんを拘束する力は、もうオレには残ってなかった。  カウンター攻撃が一撃必殺技とは強すぎる。 「さ、続けるならどうぞ。まだまだ君の思い出話あるからね」 「遠慮しときます…」  その思い出話が、どんな思い出話か考えるだけで背筋が凍る。 「そう?…ん、萎えたみたいだね、良かった」  爽やかな笑顔の恭介さん。  だけどオレの状態を確認するのに、股間タッチはやめてください…。 ---- [[かわいいでっかいワンコ受>10-689]] ----

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