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身代わり ---- ミガ☆ワリ ラノベ調にものすごく斜めからお題にこたえてみました。 ちょっと未来の地球。 数年前に、未知なる宇宙から初のコンタクトを受け、異星人との交流が進んでいる、地球。 相手の宇宙人は、優しくて地球人のことをよく考えてくれる頭脳明晰な、まさに「はじめて」にはとてもふさわしい相手だった。 ヒト一種族が長じた地球とは違い、宇宙人は二種族で構成されていた。 片方は、人とほぼ変わりない容姿・思考をしていたが、もう片方は、ちょっとかわった種族だったのだ。 「私たちは…地球語で一番近い言葉に当てはめると…ミガワリっていうんです」 彼らが言うには、彼らの星は知能を長じようとした種が多く、太古の昔熾烈な進化合戦があったらしい。 そこで頭はいいが身体能力に劣るヒト型と、身体能力は高いがイマイチ知力に劣るミガワリ型が協力して 他の種族を打ち負かし、進化を続けたというのだ。 長い進化の中で、ヒト型とミガワリ型が争いを起こさなかったことは奇跡ともいえるかもしれない。 そう、地球側のお偉いさんが言うと、ミガワリ型代表はにこりと笑いこう言った。 「わたしたち、ばかですから。ヒト型の身代りになって役に立ったり、ほめられると幸せで幸せで パーッとなっちゃうんです。これはヒト型にもおそらくあなた方にも解らない感覚だと思います。 でも、私たちはこう言う種族なんです、かわいそうとか思わないでくださいね」 さて、この宇宙人来訪で一番喜んだのは宇宙ヲタや研究者ではなかった。萌ヲタたちである。 なぜかって?それは、宇宙人たちは、アニメのような色とりどりの髪をしていたし 特にミガワリ型は、ヒト型の危険をすぐに察知できるように発達した外器官を持っていたからだ。 平たく言うと、猫犬狐兎などの獣人、角っ子に触覚持ち、髪の毛が羽のようになっている者、よりどりみどりだし、 なにより種族全体がけなげなのだ。 「ヒト型との交流もひと段落しましたし、そろそろミガワリ型も地球人と密に交流したいですね」 お昼の日曜版一週間のまとめニュースで、ミガワリ型代表のネコミミっ娘がにこにこと笑っている映像が流れている。 「アイドルとして、又は限られた期間での交流は円満に終わりました。国連は、ヒト型と同じく留学という形で われわれの生活になじんでいってもらう、そういった決議をまとめ、時期を見て交流を始めることを決定しました」 続けて女性アナウンサーが原稿を読み上げる。 俺は特に興味もなく、そうめんを啜りながらそのニュースを見ていた。 髪がピンクやら青やらのヒト型はもうすっかり身近な存在だ。ぶっちゃけ、俺の携帯のメモリーにも宇宙人の番号が入っている。 宇宙人だといっても、ふつーの友達だ。弁当も一緒に食ったりするし。 見た目と思考回路の違いからミガワリと一般人とはまだ交流が許されていないが、案外あっさりなじむんじゃないか? ぴーんぽーん のどかな俺の昼飯アンドア○ック25タイムを邪魔するようにチャイムが鳴り響く。 今家にはオレ以外誰もいないから面倒だが、出なくちゃならないな。 「はーーい、宅急便ですか?」 ガチャリとドアを開けると、そこには。 「あ、あの、はじめまして。おれ、今日からここにステイして、留学する、ミガワリなんだけど…」 俺より背が低い、ネコミミがついた、…非常に残念なことに…野郎が立っていた。 「あー…?」 初耳な出来事にしばらく、思考が止まる俺。奴のきれいな緑色の髪にある左巻きのつむじを見つつ、まあ、オフクロは天然だからまた言い忘れたんだろ。 そう思い、「まあ、上がれよ」と言いかけた俺の前から奴は一瞬にして消える。と、一瞬後にぼふっと音がして白いものが落ちてきた。 「ふとんが、落ちてきたから」 さすが、ミガワリ。二階の物干しから俺の頭上に落ちてきた布団を空中でキャッチし、着地したらしい。 それから、奴は俺に起こることをできる限り身代りするようになった。 川に落ちかければ俺を突き飛ばして自分が落ち、チャリで事故りかけても、俺を守るようにクッションになったり。 気にしなくてもいい、本能だからと言われても、やっぱりなんか申し訳ないし。 最初は男かよ、なんてがっかりしたけどけなげ過ぎるこいつを見ていると何か…その、いとおしいっつーかなんか。 (オレってホモだったのか…いやしかし…) 思い悩む俺を見て、奴は猫耳を倒して心配そうなカンジ。尻尾もへたってる、かわいいなあ。 「なあ、おれに言えることだったら相談してよ。みがわりはできないけど、一緒に考えたら少しでも楽にならないか?」 なんてかわいいんだ。なんでこんな種族が存在しちゃうんだよもう! ---- [[妄想癖>10-599]] ----

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