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ピロートーク ---- おかしい。 いわゆるピロートークってもんはもっとうこう、甘いもんじゃないのか。 普段は恥ずかしくて言えないこととか、他愛のないこととか、 とにかく二人で余韻に浸りながらイチャイチャと話をするもんじゃないのか。 なのに、どうしてこいつは俺の隣に寝そべったままノートパソコンのキーボードを叩いてるんだ。 「いける!これでいけるぞ!なんで今まで思いつかなかったんだ俺!」 なんだその生き生きした目は。なんだその溌溂とした表情は。 『いける』じゃねーよアホ。今しがた俺にイカされたばっかだろお前。 「……楽しそうだな」 「楽しいというか嬉しいというか、俺って天才?みたいな」 テンション最高の満面の笑顔でこっちを見るな。 ついさっき涙目で俺を見上げて言った「もう駄目」「もう限界」っつー言葉は嘘か。 まさか「早く」とねだったのは早く終わらせたかったからじゃねぇだろうな。 「仕事か、それ」 「まーね。急な仕様変更があって、どうしようかここ数日悩みっぱなしだったんだけど」 こいつの職業はSEだが、『SEとはシステムエンジニアの略称である』ことくらいしか俺には分からない。 「閃いた!唐突にぴかーんと!アドレナリンがどばーっと!」 「へえ」 「解決した。多分ね。明日書き換えてテストしてみないと分からないけど、多分オッケー」 「ああ、そうかよ。良かったな」 わざと機嫌の悪さを滲ませて言ったのに、明るく「うん、ありがとう」と笑う。 本当に嬉しそうに、鼻歌を歌いながらノートパソコンを撫でている。 おかしい。甘くないどころか、すごく苦い。 こいつは表情はとても幸せそうなのに。俺の隣で笑っているのに。 さっきまで何度も好きだと囁いて、囁かれて、最高に幸せな気分になっていたのに。 苦い気分が着地した先は、情けなくも『パソコンへの嫉妬心』だった。 俺たちの甘いピロートークを奪いやがってこの野郎。 次やるときは、絶対隠す。 ----   [[ピロートーク>10-119-3]] ----

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