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お隣さん
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隣にミュージシャン志望の大学生が引っ越してきたのは今年の夏のことだった。
エスニック調の派手なルックスで、引っ越しのあいさつに謎の象かと思われる置物を寄越してきた変わり者だ。
夕方になるとギターを携えて駅前に出かけている。
そこで歌っているところも何度か見た。
歌っているのは決まってラブソング。それも失恋か、悲恋もの。
すこし意外だったのは、その声が甘く抑揚をつけて繊細に響くことだった。
土曜の昼下がり、いつもならひっきりなしに聞こえてくるアコギと甘い歌声が今日はどういうわけか全然聞こえなかった。
いぶかしんでいると、俺の部屋のインターホンがなった。
「狭川さーん」
「あ、お隣の……」
「相川っす、名前そろそろ覚えてくださいね」
何故かお隣のミュージシャン――相川さんがいた。
「何か御用ですか?」
「いや、俺迷惑かなーと思って」
「え?」
「いっつも昼から夕方まで歌ってるっしょ、うるさくないっすか」
「いやべつに……?」
「そうすか、でもこれあげます」
そういわれて差し出されたのは、小ぶりのどんぶりに入ったカレーだった。
「いや、なんか悪いな……・ただでいつも聞かせてもらっているのに」
「……狭川さん、変な人っすね」
お前に言われたくないわ、とは言わず「はあ」と適当に返すと相川さんはそのまま隣の部屋へ帰っていった。
そのあと、余った白米をどんぶりにつっこみ食べているとギターの音と一緒に歌声が聞こえてきた。
いつになく、アップテンポな曲は普段とは違い幸せな恋の歌だった。
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[[高給アルバイト>25-979]]
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お隣さん
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隣にミュージシャン志望の大学生が引っ越してきたのは今年の夏のことだった。
エスニック調の派手なルックスで、引っ越しのあいさつに謎の象かと思われる置物を寄越してきた変わり者だ。
夕方になるとギターを携えて駅前に出かけている。
そこで歌っているところも何度か見た。
歌っているのは決まってラブソング。それも失恋か、悲恋もの。
すこし意外だったのは、その声が甘く抑揚をつけて繊細に響くことだった。
土曜の昼下がり、いつもならひっきりなしに聞こえてくるアコギと甘い歌声が今日はどういうわけか全然聞こえなかった。
いぶかしんでいると、俺の部屋のインターホンがなった。
「狭川さーん」
「あ、お隣の……」
「相川っす、名前そろそろ覚えてくださいね」
何故かお隣のミュージシャン――相川さんがいた。
「何か御用ですか?」
「いや、俺迷惑かなーと思って」
「え?」
「いっつも昼から夕方まで歌ってるっしょ、うるさくないっすか」
「いやべつに……?」
「そうすか、でもこれあげます」
そういわれて差し出されたのは、小ぶりのどんぶりに入ったカレーだった。
「いや、なんか悪いな……・ただでいつも聞かせてもらっているのに」
「……狭川さん、変な人っすね」
お前に言われたくないわ、とは言わず「はあ」と適当に返すと相川さんはそのまま隣の部屋へ帰っていった。
そのあと、余った白米をどんぶりにつっこみ食べているとギターの音と一緒に歌声が聞こえてきた。
いつになく、アップテンポな曲は普段とは違い幸せな恋の歌だった。
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[[お隣さん>25-969-1]]
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