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従者の秘め事 ---- 深夜。 屋敷を見回るのは、老齢の執事。 幼い頃奉公にあがり、今では主も3代目。 よく、勤め上げたと己をほめたくなる。 すきま風に体を震わせ、施錠を確認。 異常は無い。 最後に一度、年若い主の寝顔を見て破顔し、そっと離れる。 一番鮮明に記憶に残る、先代と雰囲気が似るようになってきた。 いや、顔立ち自体は、彼の祖父にそっくりだ。 先代が 「なぜ、私を飛ばして父に似た」 と呟いていたのも、覚えている。 懐かしい。全てが。 屋敷で過ごした日々を思い描きながら、執事はようやく、己の部屋へと戻った。 今日の昼には、ここを去る。 少しの心残りも無いように、全てやり終えた。 彼は、寝台の近くにあるテーブルに飾られた、小さな絵を手に取る。 色あせているが、その人は年もとらず、静かに微笑んでいた。 「これが最後です。あとは私が、墓まで持って行きましょう」 その時はまた、私を貴方の隣に添えてもらえますか? 秘めやかな問いかけと共に、執事は主の唇へ口付けた。 ----   [[お隣さん>25-969]] ----

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