「25-589」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

25-589」(2013/08/02 (金) 23:48:05) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

殺したいくらいの愛情 ---- 喉から言葉が出かかった。 思うさまに罵詈雑言を浴びせ、罵り、蔑み、殴りつけてやりたかった。 それを止めたのは、皮肉にも目の前でうなだれている奏太の言葉だった。 「ごめん。ほんと、反省して……」 「反省って、何のだよ」 「いじめ、の事」 目は泳ぎ、顔色も悪い。 当たり前だ。 今、彼の命運を握っているのは、表情を無くして立っている隼人だからだ。 隼人の手は、奏太の腕をしっかりと掴み、ギリギリと締め上げる。 「俺、別にお前の反省なんていらないよ」 「じゃあなんで!?」 「ただ憎い。それだけだよ」 手を離せば、奏太は落ちる。 自分が招き寄せておいて、それが少しだけ惜しくなる。 「や、めろ!だったらお前だって、俺が死ねばいいって……!」 「思ってるよ、もちろん。この手を離しても、いいくらいだし」 「じゃあ」 なぜ、と問う奏太に、隼人はぐいと体を引き寄せた。 「一緒に行こうか?何て言わないよ。飛び降りるなら、いっそ見つからない所でひっそりしろ」 隼人は、以前奏太から酷いいじめを受けていた。 その一年を、隼人自身決して忘れる事はない。 なのに、心も体も壊した張本人は、自分と同じ目にあった途端、数日で学校の屋上から飛び降りようとしていた。 それが、隼人には許せなかった。 「復讐もさせてくれないなんて、それこそいじめだ」 「復、讐?」 格好いいと評判の顔が、悲痛に歪む。 それだけでも、隼人の中で溜飲が下る。 「そう。あんたは憎いけど、この手離したら、憎む事も復讐する事も出来ない。だから、生きててよ。勝手に死なないで」 奏太がむせび泣くと同時に、隼人は少しだけ安堵した。 図らずも、彼の命を救った形にはなったが、隼人にしてみればこれからが本番だった。 それでも、用意していた罵詈雑言は、しばらく封印となった。 ----   [[神経質な敬語攻め>25-599]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: