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ノンケ(→)←ナルシスト ---- というわけで部屋は1つしか空いてないと、素っ気ないフロントは言った。 いい加減長い言い訳を聞くのも疲れたので、俺はあきらめた。 「じゃあ、それで良いです。簡易ベッドあるでしょう、運んでください」 料金はもちろん、二人分より割り引くよう付け加える。 加藤は何故かふんぞり返った。 「ふーん」 してやったり、の笑顔だ。 それっきりもの言いたげな顔のくせに黙り込んで、部屋まで後ろをついてきた。   歩きながら俺が 「簡易ベッドはジャンケンな」 と言うと、「……別にどっちでもいいんじゃないの?」とうそぶく。 絶対文句言うタイプなんだが。小さいベッドじゃ体が痛いとかなんとか。 だから、絶対なにか誤解している。 いい顔してるのは認める。仕事もまあできる方だと客観的に評価できる。 だから自分を過大評価する癖も、処世術の一つだろうと大目に見る。 でも、誰も彼もが自分に惚れるってのは考え違いだ。 過去にどういう経験があるんだろう、同性にまでそれを当てはめる思考は、正直想定外だった。 今、俺はそういう誤解を受けている。 何故一足飛びにそうなったかと言えば、思い当たる節もある。 こいつ、俺に惚れてるんだろう。こいつの方が俺を好きなんだ、そうじゃないか? 不思議なものだ。急にこんなふうにわかるなんて。 勘違いじゃないよな。 やや苦手。意識すれば、そういう相手だった。 そいつが今、気のせいか幾分そわそわと、俺の後をついてくる。 きゅっと引き締められたくちびるは、我慢なのか、期待なのか。 冗談じゃない、とは思わなかった。 初めて──可愛いような気がした。 ----   [[食えない男受け>ページ名]] ----
ノンケ(→)←ナルシスト ---- というわけで部屋は1つしか空いてないと、素っ気ないフロントは言った。 いい加減長い言い訳を聞くのも疲れたので、俺はあきらめた。 「じゃあ、それで良いです。簡易ベッドあるでしょう、運んでください」 料金はもちろん、二人分より割り引くよう付け加える。 加藤は何故かふんぞり返った。 「ふーん」 してやったり、の笑顔だ。 それっきりもの言いたげな顔のくせに黙り込んで、部屋まで後ろをついてきた。   歩きながら俺が 「簡易ベッドはジャンケンな」 と言うと、「……別にどっちでもいいんじゃないの?」とうそぶく。 絶対文句言うタイプなんだが。小さいベッドじゃ体が痛いとかなんとか。 だから、絶対なにか誤解している。 いい顔してるのは認める。仕事もまあできる方だと客観的に評価できる。 だから自分を過大評価する癖も、処世術の一つだろうと大目に見る。 でも、誰も彼もが自分に惚れるってのは考え違いだ。 過去にどういう経験があるんだろう、同性にまでそれを当てはめる思考は、正直想定外だった。 今、俺はそういう誤解を受けている。 何故一足飛びにそうなったかと言えば、思い当たる節もある。 こいつ、俺に惚れてるんだろう。こいつの方が俺を好きなんだ、そうじゃないか? 不思議なものだ。急にこんなふうにわかるなんて。 勘違いじゃないよな。 やや苦手。意識すれば、そういう相手だった。 そいつが今、気のせいか幾分そわそわと、俺の後をついてくる。 きゅっと引き締められたくちびるは、我慢なのか、期待なのか。 冗談じゃない、とは思わなかった。 初めて──可愛いような気がした。 ----   [[食えない男受け>25-569]] ----

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