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死亡フラグブレイカー ---- 指を絡めて、少し俯いた顔をあげる。逞しい手首に下がる緑のミサンガが僅かに揺れると、真剣な表情で彼は言った。 「俺、この試合が終わったら告白するんだ」 「……ああ、そう」 スコアボードを抱きしめつつ、エースの妄言を軽く受け流しつつも返してやると、 唇を尖らせながらなんだよその反応! と怒られた。だってキモいんだもん。 それに知ってるか、そういうの死亡フラグっていうんだぜ。そういうこと言っちゃうとボコスカうたれちゃうぜ。 そう思いはしたけれど、実際口にしたらマジで打たれてしまいそうな気がしたので、やめた。 選手の精神のケアもマネージャーの大事な仕事だからだ。 高校三年生の野郎にしては幼すぎる言動に溜息をつきつつ、彼の隣に腰掛ける。 「つか、え、オマエ好きな人いたんだ」 「うん。いつも俺のこと支えてくれてて、いつも俺中心に物事を考えてくれてて、緑のミサンガをチーム全員にくれたヤツ」 「……はあっ?!」 思わず立ち上がって、叫んだ。意味わからん。もう一度言う。意味わからん。 思考をぐちゃぐちゃにさせていると、実質告白に近いことを言いやがったそいつは、意地悪く笑いつつ立ち上がる。 そして俺を指差して、「完封におさえるから。見てて。お前のために投げるよ」と言った。 チームのために投げろよ、とか、そういうこと言うとマジでうたれるぞ、と色々と思ったけれど、 何をどうしたらいいのかわからなくて、バカ、と叫んでおいた。 このバカが本当に完封して、甲子園行きを決めたのは、また別の話だ。 ----   [[魔法をかける>25-099]] ----

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