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両片思い
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「お前に謝らなければならないことがある」
「なっ、ななななにかな!?」
「なぜそんなに狼狽する」
「いや別に!僕は至って普通だよ。ふつー。いつもどおり!」
「そうか?」
「そうだよ!そ、それよりも!謝ることってなにかな?」
「実は」
「う、うん」
「…………いや。やはり、今はよそう」
「ええっ!?わざわざ訪ねて来てくれたのに!?」
「すまない」
「すっごく気になるんだけど!」
「……すまない」
「あ、いや怒ってるわけじゃなくて。……あの。僕に気を遣ってくれてるとかなら、気にしなくてもいいよ。
どんな内容だって僕は平気だし。そもそも、あれを書いた時点でそういう覚悟は出来てるというか…」
「覚悟?」
「うん。だから、君の言いたいことをズバッと言っちゃってよ」
「……いや。俺はあまり喋る事が得意ではないから、上手く伝えられる自信がない。
お前はいつも俺の拙い言葉を汲み取ってくれる。が、いつもそれに甘えるわけにはいかない」
「そ、そっか」
「だから、一度戻って、お前に手紙を書くことにする。自分の言葉で。それを、読んで欲しい」
「わかった。………ってことは、わかるのが1、2日後ってことか…うわー…生殺し…」
「ん、何か言ったか?」
「ううん、何も。じゃあ、手紙待ってるから!」
「ああ。それでは、またな。邪魔をした」
「うん、またね」
「ううううう……『謝る事がある』って、もうイコール返事はノーって言われてるようなもんじゃないかー。
でもああ言ってくれてるのに、無理に言わせるのは余計に嫌われそうだし…
仕方ないから、手紙が届くのを待っていよう。……ああ、なんか、死刑囚の気分……」
そのときの僕は知らなかった。
僕が彼に宛てて書いたあの手紙は、彼に読まれていなかったことを。
そして、家に帰った彼が『さっきの手紙の用事はなんだったか』と手紙に書いていることを。
「あーあ、お腹、減ったなあ……」
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[[両片思い>21-649-1]]
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