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片想いの連鎖
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【鉛筆】
これまで鉛筆削りしか知らなかったが、あるときカッターナイフにその身を削られてからというもの
その鋭さに心を奪われてしまった。削り終わったらさっさと離れていった冷たささえも鉛筆の心をかき乱す。
しかし一方で鉛筆削りへの後ろめたさもある。不安定な心を反映してか、最近は仕事中に芯がよく折れている。
「あんなにされたの初めてで……痛かったけど、でも……また彼に会えたら僕はどうなるんだろう」
【カッターナイフ】
最近はよく組んで仕事をしているプラスチック定規のことが気にかかってしかたない。
なぜなら、自分のミスで彼の身を僅かに削ってしまうことがあるのだが、
その自分のつけた傷を見ながら、定規が微かに笑っているところを目撃してしまったから。
上記の理由から他の仕事は若干上の空だが、刃のキレは衰えていない。
「あんな傷がついたのは俺の所為だ。怒ってもいい筈なのに、なぜあいつは笑っている?」
【プラスチック定規】
30cm。自分のサイズを誇りに思っている反面、ただ一人筆箱に入れないことに疎外感を感じていた。
その疎外感はいつしか筆箱そのものを求める気持ちと変化。
削られてサイズが小さくなればいつか筆箱に入れるのかも、と身体についた傷を見て病んだことを考えたり
もはや本人でもよくわからない感情にその身をしならせている(意外と曲がる)。
「あの人に包まれたい。あの人と一緒になりたい。あの人の中はどんな風なんだろう」
【筆箱】
誰でも受け入れる度量の大きさを持っている。内側から鉛筆の芯でつつかれてもニコニコしている。
ただ少々過保護気質で、特によく行方不明になる消しゴムのことをとても心配している。
ずっと自分の中に居ればいいのに、と考えてしまい、ハッとすることが増えた。
「彼、最近は丸っこくなってね、すぐどこかへ転がっていくんだ。まったく、世話が焼けるよ」
【消しゴム】
ひたすら鉛筆の後を追いかけている。鉛筆の仕事がまっとうされるのが一番。
ミスをフォローするために自分の身が削れていつか消えてなくなる運命でも、構わないと思っている。
最近はなぜか鉛筆の芯がよく折れるため、特に仕事が増えている。
「あの人のためならヒトハダ脱ぎますよ~…って、最初の頃に比べて脱げる肌も減っちゃいましたけどね~」
※※番外※※
【鉛筆削り】
机に固定されて、ひたすら鉛筆の帰りを待っている。
「あーあ、ヒマだなー。ヒマヒマ。早く鉛筆たち帰ってこねーかなー」
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[[最初で最期の恋>24-779]]
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