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太平洋のイケメン ---- 「おおっ」 担任の先生が名の読み上げを止め、名簿を見たまま声を上げた。 「お前達3人、頭文字とると太・平・洋になるな!がはは!」 静かだった教室が、少しだけ笑いに包まれる。 新学期でまだお互いの名前を知らない者が多い中。 どうしたって遠慮がちになるのは仕方ない。 そして僕も周りに合わせて微妙に笑いつつも、 担任の言った事実に少なからず驚いていた。 すると僕の二つ前に座る男が、急に後ろを向いた。 僕が洋野だから、彼が太のつく名字なんだろう。 彼は間の男を見て、そして僕を見て。 僕と目があうとなぜかニコーッと笑った。 人懐こそうな、満面の笑みだった。 それが最初。 いつも僕達3人はひとまとまりにされる事が多いから、自然と3人つるむようになり仲良くなるまで時間はかからなかった。 「なぁチョコいくつもらった?俺はな、25個!」 太田が言った。 「……18個」 平沢が眼鏡のズレを直しながら言った。 「あ、えっと僕は…21個…」 僕も後に次いで報告する。 それを聞いて太田はヨッシャ!とガッツポーズをとった。 「俺が一番だぜ! 平沢よぉ、おまえはもっと女子と喋れ!交流を持て!」 「…興味ない」 平沢はそう一蹴して、持っていた参考書に目を落とす。 やれやれとポーズを取りながら大げさにため息をついた太田が、今度は意気揚々と僕の肩を強く抱いた。 「俺らはそこそこ女子と話すもんな!来年も負けねぇようにしような洋野?」 太田の人懐こい笑顔が近い。 勢いにおされてつい頷く。 「…くだらん」 参考書から目を離さずにぼそりと呟く平沢。 「くだらんとは何だお前。勉強ばっかりしやがってお前」 また睨み合ってる二人に苦笑する。 乱暴でがさつだけど、大柄で運動センス良くて優しい一面もある太田。 寡黙で落ち着いていて、常に成績トップのインテリ系な平沢。 そして何でも平均な僕、洋野。 イケメン二人が女子にきゃあきゃあ言われるのはよくわかるけど、なんで僕ももてはやされてるんだろう。 女子って不思議だ。 ----   [[鶴×亀>24-539]] ----

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