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いくら俺が鈍くても気づく ---- 好きだと言われるまで、貴方が俺のことを好いているなんて思いもしなかった。 驚きのあまり固まってしまった俺を見て、貴方は言った。 「あんだけモーションかけてたのに気づかないとは、お前は鈍いなぁ」 そう笑いながら抱き締められた貴方の腕のなかで、 俺はようやく自分の中に恋心が芽生えているのを知った。 酷い夕立にあい、駅で立ち往生していると、 のっそりと此方へやってくる貴方の姿が見えた。 そんな筈はないと訝しげに顔を歪めた俺を見て、貴方は言った。 「居るはずがないって思っただろう? 俺がどれだけお前のこと考えているのか気づかないとは、お前は鈍いなぁ」 そう笑いながら俺を傘の中に迎え入れた貴方の体温を感じて、 俺はようやく貴方に思われることの喜びを知った。 熱にうなされ、苦しさのあまり寝るに寝れない状態に陥っていた。 ふと物音が聞こえたので目を開けてみたら、 貴方が心配そうに俺の様子を確認していた。 幻ではないかと不安げな表情を浮かべた俺を見て、貴方は言った。 「来るはずが無いと思っていただろう? 俺がどれだけお前を大事に思っているのか気づかないとは、お前は鈍いなぁ」 そう笑いながら優しく俺の髪をすく貴方を見て、 俺はようやく貴方を深く愛していることを知った。 眠りについた貴方は、毎回と言っていいほど俺とは違う名前を呼んでは、 悲しいくらいに優しく抱き締めてくる。 無意識が産み出す彼の姿は、 普段の柔らかな雰囲気とは異なる、悲壮で必死な様子で。 「いくら鈍い俺でも気がつきますよ」 そして俺は、貴方が一番大事に想っている人を、 そしてそれが俺ではないことを知ってしまった。 ----   [[似た者同士>24-449]] ----

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