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モブキャラ×当て馬 ---- 「こんにちは」 「誰だっけ、あんた。……ってああ、思い出した。ごめんごめん」 「慣れてます。俺、誰だっけってよく言われますから」 「だからごめんって」 「名前、あるんですけどね。呼ばれないから。あなたが羨ましいです、名乗り呼ばれる名前があって」 「そうかあ?登場しただけで邪魔者扱いで嫌われ者なんて、うんざりするけどな」 「俺はそういう感情すら向けられませんから。あなたが羨ましい」 「僕からしたら、あんたの方が羨ましいよ」 「なぜ」 「そういう感情を向けられないから。憎まれるとか目の敵にされるとか拒絶されるのってしんどいよ?  片方は、一応でも好きになった相手なんだからさ。振られるとわかってても」 「あなたはそれでも、あの人を好きなのをやめなかった」 「そりゃあね。僕は最初からアイツに振られるために、アイツとあの野郎の絆を深めるために、  アイツを好きになって手に入れようとして足掻いて失敗する、そういう立場だったってわけだから」 「それでもやっぱり、俺にはあなたが眩しいです」 「えー。まだ言うか」 「全てわかっていても誰かを想い続けられた、感情を出し続けていられた、あなたは強く美しい。だから眩しい」 「……。あんた、何言っちゃってんの?」 「俺、心は殆どありません。顔も無いも同然です。名前もあるけど呼ばれない。でも、あなたの名前は呼べます」 「それが何」 「いまとても傷ついてるあなたを慰めることくらいは、出来ます」 「…………」 「物語の、ほんの隙間でくらいなら」 「……ふーん。隙間、ね。だったら名前教えてよ。あるんだろ? このままじゃフェアじゃないと思うけど」 「そうですか」 「そうだよ」 「わかりました。あなたには名乗ります。俺の名前は、」 ----   [[死ぬまで愛してると、死ぬほど愛してる>24-389]] ----
モブキャラ×当て馬 ---- 「こんにちは」 「誰だっけ、あんた。……ってああ、思い出した。ごめんごめん」 「慣れてます。俺、誰だっけってよく言われますから」 「だからごめんって」 「名前、あるんですけどね。呼ばれないから。あなたが羨ましいです、名乗り呼ばれる名前があって」 「そうかあ?登場しただけで邪魔者扱いで嫌われ者なんて、うんざりするけどな」 「俺はそういう感情すら向けられませんから。あなたが羨ましい」 「僕からしたら、あんたの方が羨ましいよ」 「なぜ」 「そういう感情を向けられないから。憎まれるとか目の敵にされるとか拒絶されるのってしんどいよ?  片方は、一応でも好きになった相手なんだからさ。振られるとわかってても」 「あなたはそれでも、あの人を好きなのをやめなかった」 「そりゃあね。僕は最初からアイツに振られるために、アイツとあの野郎の絆を深めるために、  アイツを好きになって手に入れようとして足掻いて失敗する、そういう立場だったってわけだから」 「それでもやっぱり、俺にはあなたが眩しいです」 「えー。まだ言うか」 「全てわかっていても誰かを想い続けられた、感情を出し続けていられた、あなたは強く美しい。だから眩しい」 「……。あんた、何言っちゃってんの?」 「俺、心は殆どありません。顔も無いも同然です。名前もあるけど呼ばれない。でも、あなたの名前は呼べます」 「それが何」 「いまとても傷ついてるあなたを慰めることくらいは、出来ます」 「…………」 「物語の、ほんの隙間でくらいなら」 「……ふーん。隙間、ね。だったら名前教えてよ。あるんだろ? このままじゃフェアじゃないと思うけど」 「そうですか」 「そうだよ」 「わかりました。あなたには名乗ります。俺の名前は、」 ----   [[死ぬまで愛してると、死ぬほど愛してる>24-399]] ----

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