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掃除係 ---- 深夜の高層ビルの一室。 向こうから守衛が足音を響かせやってくる。 「やぁ。遅くまで大変だね。あれ?いつもの人と違うんだね」 人の良さそうな小父さんは僕の顔に光を当てて聞く。 掃除道具を入れたサイドネット付きの台車を押しながら 僕はにっこり笑って八重歯を見せる。 小父さんは全く怪しむでもなくそのまま行き過ぎる。 こんな時は童顔の自分で良かったと思う。 目的の部屋のドアを開け、クライアントの指示通りのファイルを運び出した。 僕の仕事は『なんでも屋』担当はクリーンアップ。 普通に部屋の掃除から、夜逃げをした人の旧居の最終チェックを兼ねた掃除 勤め先に残したまずい書類の回収、過去の清算など 結構犯罪すれすれの事もやる。 クライアントの詳しい事情は知らされない。 万が一の時に僕を巻き込まないようにとの社長の配慮のようだ。 ま、そんな事はどうでも良い。ただ社長の命じるまま黙々と任務をこなすのみだ。 「社長、任務完了しました」事務所に戻って社長に報告する。 「お疲れ」 社長の笑顔で僕は緊張から来る疲れも吹っ飛ぶ。 「俺の顔に見とれている所を悪いが今夜はまだ仕事があるんだ。先に車で待っててくれ」 社長が車のキーを投げてよこすのを両手で受け止める。 駐車場に行き助手席のドアを開け社長を待つ。 社長はいつも自分で運転をしたがるのだ。 待っている間にこの前の事をつらつらと思い出す。 「社長が好きです」酒の勢いを借りてそう告白した僕に 「悪いが社員には手を出さない事にしているんだ」 折角社長が逃げ場を用意してくれたと言うのに僕は重ねて聞いてしまった。 「じゃ辞めれば相手をしてくれるんですか?」 「……いや、君の気持には応えられない。もっと君にふさわしい誠実な奴を探せ」 手当たりしだい誰でも口説く社長に拒否されるとは思っていなかっただけにショックだった。 そんな僕に社長は一切態度を変えず今まで通りに優しく接してくれている。 僕はと言えば、すぐ側に居ても振り向いてもらえず さりとて辞めてしまえば二度と会ってもらえないかもしれず悶々とした日を過ごしている……。 「お待たせ」社長が乗り込んできた。ふんわりと社長の良い匂いが車内にひろがる。 「社長」 「なんだ?」 「今度、社長に仕事の依頼をしたいのですが……」 「俺に?俺直々にとは大仕事って事だな?高くつくぞ」 社長が白い歯を見せて声を上げて笑った。 僕は眩しくて目を細める。 「ま、今回は特別に無料で引き受けてやるよ。で、何をする?」 「僕の心の中の社長をクリーンアップして下さい」 ----   [[マスコット>24-239]] ----

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