「24-169」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

24-169」(2012/06/24 (日) 01:10:28) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「ほらね」 ---- 放課後の教室から、下校していく女子テニス部の白井さんを見送っていたときのこと。 センチに浸っている僕の元へ、さして仲良くもない中高とクラスメイトの上原が来た。 いやなタイミングだ。 「ほらな。須田、やっぱりフラれたろ」 ニヤニヤと笑って、どこか嬉しそうにも見える。 上原の勘はよく当たった。 天気や席替えやどこの野球チームが勝つかとか、僕がフラれるとかフラれるとか。 その度自信満々な顔をしては、強気な態度で僕をからかう。 「懲りないなぁ須田も」 「上原が"絶対フラれる"とか言うからだろ、暗示じゃないかあんなの」 勘だかまぐれだかに責任を求めるつもりもなかったけれど、さすがに中学から3人連続で当てられるとへこむし腹がたつ。 今日も今日とて、僕が白井さんに放課後の約束を取り付けたのを上原曰く"偶然にも"目撃し、「隠したって無駄だよ、告白すんだろ?」とちゃかしてきた。 あのときの表情がフラッシュバックし、なんだか胃もたれのような感覚がする。 気付かぬ間に僕は舌打ちをしていた。 「上原こそ、いつかフラれりゃいいんだ、玉砕して」 「えっ」 はじめて言い返されたことに驚いたのか、怯えるような声を上げて、上原が動きを止めた。 西日に満たされた教室の中で、心なしか顔色が悪い。 「上原?なんだ、好きな奴いるんだ?」 「え、いや、俺は…」 黙ってしまった。 それは気付いたというより気付いていたことだったので、僕は少しの澱みもなく上原の手を取った。 「須田?なにすんだよ、おい」 普段の自信満々な顔はどこへ行ったのか、不安げに僕を見る。 「…当ててやろうか。上原さ、僕のこと好きなんでしょ」 言うが早いか上原は僕から目を逸らし、点いてもいない蛍光灯か何かを見ているようだった。 睨むように見つめても、上原はちらりともこちらを見ない。 「上原ぁ」 「な、なんだよ」 「隠したって無駄だよ、僕のこと好きなんだろ?」 西日の中でもわかるくらいに上原の顔が赤くなる。握ったままの手も汗ばんできた。 じれったいので手を引き寄せて抱きしめ、そのまま上原の胸へ耳を付ける。 「ほらね」 その心臓は高々と跳ねていた。 ----   [[真面目×ちゃらいの>24-179]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: