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東南アジアから来た天才少年 ---- 「『本格レッスンわずか2ヶ月で単独コンサート大成功の天才ピアニスト!ヌワン・パビ・ユエチャイくんの素顔にせまる!』 『脅威の音感、天才少年ユエチャイくん』『澄み切った音色から広がる美しい世界』『音楽の申し子・アジアから世界へ』だって。すごい記事ばっかりだな。見た?」 「みてない、ちゃんと読めない」 「お前婚約者が3人いることになってるけど」 「えー!?ホントに?…参ったなぁ、おっぱい大きいかなぁ」 「全然参ってないじゃん」 「でもホントに参った、昨日母さんに電話したら、妹が6人増えたって。いまうちオオジョタイ」 「受け入れちゃったのかよ、お前の母ちゃんもすごいな」 「まだしばらく帰れないみたいだからなぁ…チョト心配。じいちゃんも老い先短いし」 「ざっくりした日本語になっちゃってんぞ。…やめたい?」 「んーん、ピアノ好き、少しの、えーと流行り廃り?でも喜んで聴いてくれる人がいるのは嬉しいし、幸せなことだと思う、から。それに日本には、アキラがいるしね」 「……よせやい」 「エドッコ?ふふ。 でもホントに感謝してるんだよ、アキラにも、アキラのパパやママにも。昔僕にピアノを教えてくれたこと、友達になってくれたこと、たくさん優しくしてくれたこと、それから」 「ヌー、大変になったらすぐ言うんだぞ。強制送還してやるから」 「僕ミツニュウコクじゃないよー」 「はは、まーでもホント、もっと頼ってよ」 「うん、ありがとう。嬉しい。アキラは僕のキョウダイみたいなものだから」 「兄貴だろ、チョーカッコイイ。男前の」 「ちがう、男前はタカクラとワタナベ」 「ケンかよ!」 「あのね」 「うん?」 「時々思うんだ、嬉しいことや悲しいことがあったとき、アキラと僕が繋がってたら、どんなに幸せだろうって。 アキラの辛いことや悲しいことをわかってあげたいし、僕の嬉しいことでアキラにも喜んで欲しい。ホントに心が繋がって、僕たちが二人で一人だったら、そうしたら、アキラのこともヒトリジメできて…」 「ヌーって馬鹿?」 「なんで!」 「あのなあ、もう繋がってるっつーの、お前のことぐらい手に取るようにわかるぞ俺は」 「…そっか」 「信じてないだろ。ひとつ当ててやろうか」 「なに?」 「俺のこと好きだろ、超」 「…プレイボーイ」 「いなせと言え。それか色男」 「ちがう、それヒノショーヘイ」 「マジかー」 「でもホント、あたり。ピンポンだよ、アキラ好き、すごく好き。照れるけど。…愛してるんだ。ヘンかな?」 「月が綺麗ですねってか」 「まだごきげんようだよ?」 「テレビ好きだねお前」 「うん、でもアキラも好き」 「あれ、"も"なの?」 「ゴジュッポヒャッポ」 「えー?」 「倍ぐらい違う、アキラがヒャッポ」 「新解釈だな」 「…あのさ、……もしホントのホントのホントに辛いことがあってさ、シメンソカ?なって、僕が逃げ出したくなったらさ」 「攫っていいよ、お前の国に」 「……キスしていい?」 「こういうのはなー、きかないでするんだよ」 「愛してる。愛してる?」 「イェス,オフコース!」 「あ」 「?」 「今度あれ弾いてよ、エリーゼのために」 「いいけど…それしか知らないんでしょ」 「ばれたかー」 ----   [[旅人と少年>22-799]] ----

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