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皆の人気者×一匹狼 ---- どんなに煩い人ごみの中でも、お前のいる場所はすぐわかる。 お前が話すと、空気がやわらぐ。 お前が歩くと、空気が流れる。 お前が笑うと、空気が光る。 …下駄箱の向こうから、がやがやと声が聞こえる。 帰りにどこそこへ寄ろうだの、なんやかやを食べようだの。 全くお前は見かけるたびに誰かに何か誘われている。 「あー悪りい、今日用事あるから!」 つれないお前の返事の所為で、残念な空気がその場を覆うのが手に取るようにわかる。 罪な野郎だ。 同情の視線を横に流すと、大股で近づいてくるその影ひとつ。 馬鹿馬鹿しくも、胸がどきんと打った。 「よっ!おひとりさま?」 「……。」 「じゃあ、いっしょ帰ろ!」 「…用事は?」 「え?」 「用事があるって、今。」 「あーいや、てかあれ、お前と帰るから。」 「は」 「ね?」 「ね、って」 「教室からお前が下駄箱向かうの見えてさ」 「…」 「なんかさ、人とかいっぱいいてもお前はすぐに見つかるんだよね。やっぱ愛の力かな~」 「…知るか馬鹿」 他人と慣れ合うのは、弱い奴だと思っていた。 誰かと空気を共有するのなんて御免だった。 一人が楽だった。 筈なのに。 お前の空気になら、飲まれてもいい。 そんなことを思いながら、ひと気のない道を選んで帰った。 つないだ手が、あたたかかった。 ----   [[あなたと見る朝日>24-89]] ----

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