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あなたさえ居なければ ---- ※ヤンデレ注意 恋に狂うのは、ひどく罪深いことだ。 あの人を見ているとそれがよくわかる。 あの人の相談を受け始めた当初、薄い恥じらいの表情が空気を幸せの色に染め、僕はその時間が大好きだった。 あの人が彼を手に入れてからも僕への相談は続いていたが、しばらくはただの惚気で、半分呆れながらも微笑ましく話を聞いていた。 いつからおかしくなったのだろう。 もしかして、あの人は、はじめからーー彼に恋をはじめた時からーーおかしかったのかもしれないと、今になって考えてみる。 僕には見えていなかっただけで。 あの人は彼のいろいろなものを奪っていった。 友人、家族、生活、時間。彼を監禁し始めたようだった。 僕への相談の時間が、赤黒い、苦しい色に染まるようになった。 僕はあの人が罪を犯しているのを知りながら、止めることが出来なかった。 あの人は苦しみながら、狂いながらも、幸せそうだったから。 事情が変わったのは、あの人が命を奪い始めたとき。 彼の可愛がっていたマンチカンを殺したのだという。 彼の膝の上に寝そべり、自分を見下す眼差しが憎かったのだと。 このままだと、あの人はいずれ人をも殺めてしまうかも知れない。 背筋が凍った。 僕は決意し、あの人が帰らない時間を見計らい、彼の許へと向かった。 彼は、思いのほか自由にされていた。 予想を裏切り、手枷や足枷はつけられていなかった。 しかし、理由はすぐに明らかになった。 彼は茫然自失の状態で座り込んでおり、目から光は失われていた。 憐れな彼の真ん中に僕は刃を突き入れ、僕ともども彼が赤く赤く染まるのを見ていた。 僕は我に返ると、判断を誤ったことに気がついた。 だって、あの人は僕を殺すだろう。 あの人を人殺しにしたくなかったから、彼さえいなくなればと思ったのだけれど……。 彼を殺した僕を、あの人が殺すのなら、結局、あの人は。 恋に狂うのは、ひどく罪深いことだ。 あの人を見ているとそれがよくわかる。 恋に狂ったあの人も、僕も、掌が、血に染まる。 ----   [[未熟だけど頑張る受けの姿を陰ながら応援している攻め>23-649]] ----

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