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最近もっぱら受けばっかやってる元攻め
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会話の、返事が不自然なものになる。
これ以上ないほど真っ赤な顔をして、ちらちらとこちらを見るくせに目が合うとぱっとそらす。
……分かりやすい。
歩み寄り、奴の座る柔らかなソファーの開いた空間に腰掛ける。
人ひとりの体重を受けて沈む音に全身を強張らせた奴の、その首に手を回せば、よりいっそう身が縮んだ。
顔を寄せ、キスをする。おどかさないように、掠めるだけの一回。確かめるためにもう一回。
何をするか想像はついてたろうに、呆然としている。
さらに一度キスをして、間抜けに開いた口に舌を潜り込ませた。
唾液をすすって舌を愛撫していくと互いの口から熱い吐息がこぼれる。
唇を離して甘く笑うと、眉は困ったように垂れ下がり、目にはどうしようもないやりきれなさを滲ませていた。
その情けないざまをいとおしく思いながら、片手で自分自身のシャツのボタンを外していく。
体を擦りつけ手を取って、奴の服にこすれた感触で勃った乳首に触れさせた。
歯を食いしばって、今にも死にそうな顔をしている。いつか見た表情。
こいつは自分が情欲を抱くこと自体が悪だとさえ思っている節がある。
俺がしたこれより凄いことも酷いことも、される立場なら戸惑いながらも笑って受け入れてさえしてたのに。
あの日、今にも死にそうな顔をして「お前を抱いてみたい」と言われたとき、
驚きや戸惑いよりもただ圧倒的な感慨が俺を襲い、迷うことなく承諾した。
だけど初体験なんてお互い上手くいかないもので、
俺は俺で生娘のようにぎこちなく、奴は奴で触れることさえいちいち許可をとろうとした。
終始、奴の顔は苦しさと負い目に縛られていて、それがひどく腹立たしかった。
いっぱしの意地が俺に誘いをかけさせた。「もう一度、お前に抱かれたい」と。
奴の自制心という名の傲慢さなんて吹き飛ばして、手加減なしで求めさせてやりたい。
だから、奴に抱かれるときはことさら放埓にふるまってみせる。
触られるままに声を上げ、体をよじり、
持てる全てを使って気持ちいいと、俺をお前の好きにしていいのだということを伝えてみせる。
「……すまない」
ついに漏れた、苦しさと負い目混じりの――それでも容赦がない声にぞくりとする。
ただ一言つぶやくのはこいつが全てを手放すサインだ。
俺の頭から小賢しい手管が吹き飛んでいく。
手をまわす。しがみつく。受け入れ、喘ぎ、食い締める。
そうして、溺れきった、必死な顔をして腰を揺するお前をかすむ意識の端で見て、ようやく俺は満足する。
俺だけが、求めているのかと思っていた。
人のいいお前はただそれに付き合ってくれているだけかもしれないと思った。
何もかも忘れたお前に思うさま求められることが、今の俺の喜びで、幸せなんだ。
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[[受けがヤンデレ>23-489]]
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