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本屋 ---- 本屋、というと私には忘れがたい光景が瞼に甦ります。 実話ではございますが、腐脳の見せた幻だろうとお思いになるもまた一興。 では語らせいただきます。 その日も仕事を終え疲れた足を引きずり、癒しを求めて大手古本チェーン店に立ち寄りました。 地元の店ゆえいつ知人と顔を合わせるかわかりません。 やましい事などございませんが、帽子を目深に被るのは腐っても乙女、の為せる業でしょう。 さて当然のごとく目指すはBLコーナー、何か面白い本はないか目を皿のように…、 のはずでしたがその日の私は違いました。 なぜなら3、4人の同志に混じり学生さんとおぼしき殿方がいたからでございます。 時折BLコーナーで殿方をお見かけすることはございますが、その日のお方はかなり眉目麗しく、 恥じらう事もなく堂々と立ち読みをしておいででした。 無躾な視線は失礼とは思うものの心はついつい彼の方へ。 彼は定広先生の「アンダーグラウンドホテル」を熱心にご覧になっておりました。 ハードな描写がお好みでございましょうか。 ややあってそれを棚にお戻しなると、次に手にされたのは九州先生の「課長の恋」。 コメディもイケルようでございます。 時折ククっと笑いを押し殺す気配に、心和む気持ちでおりましたところ、 「おい、なんか決まったか?」 お連れの方がいらしたようでございます。 「うん、これ」と彼は幾冊か入っているカゴを指さしました。 お連れの方はちらとカゴに目をやると 「おい、もういくぞ。遅くなるだろ」 と言いおくとさっさと出口に向かってしまわれました。 「ちょっと、待ってよー」 彼は慌ててカゴを手にすると、読みかけの「課長の恋」も突っ込み小走りでレジへとむかわれました。 会計を済ませると、ドア前で待っているお連れの方の方に、それはもう喜々として向かわれたのでございます。 そして次の瞬間、私は心ときめく光景をまのあたりにいたしました。 彼は「おまたせっ」と駆け寄るとお連れの方の腕をとったのでございます。 いえ組んだのではなく、肘上あたりを軽くつかまれたのです。 お連れの方は「ん」と声にならない声で応えると、黄色いポリ袋の中をちらと覗き、 次に彼のお顔に目線を向け微笑むと、 行くぞとばかりに軽く肩をだきよせるようにして車へと歩きだしたのでございます。 さて私はというと、彼らの車が行き去るのを自分の車の中から見送らせていただき、 ふと何も買っていないことに気が付きましたが、収穫はなくともまさに至福の時でございました。 お二人の関係など知る由もございませんが、その後の彼らがどうなったのか… つい勝手に想像してしまうのは腐った性というものでございましょう。 ----   [[ニーソックス>9-249]] ----

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