「14-801」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

14-801」(2009/03/25 (水) 00:02:25) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

好きな場所「オフィス」 ああ…疲れた…。 伸びをすると、全身が軋みをあげる。 目がかすんで、視界がハッキリしない。 今は決算期で、一年で一番忙しい時期だ。 時計は日付を越えようとするところまで迫っているのに、まだまだ書類の山は減る気配が無い。 …まあ、オレが要領悪いだけなのかもしれないけど… 現に同僚達はとっくに帰ってしまっている。 今このオフィスに残るのはオレと…部長の二人だけ。 部長もオレに合わせて残ってくれているんだろう。いたたまれない気持ちになった。 「部長…」「なんだ」 朝は一番に出社してきて、夜は必ず最後まで残る。部長はそういう人だ。 こんな時間だと言うのに、スリーピースのスーツにも、バックスタイルにした髪形にも一片の乱れも無い。 クールビューティって言葉、部長みたいな人の為にあるんだろうな…それに比べて、俺は… 「おい」 気が付くと部長が怪訝な目でこちらを見ている。 「何か用があるんじゃないのか?」 「は、はいっ!その…」 深い藍を湛えたその瞳に射竦められるとどぎまぎしてしまう。 「…今日はもう、帰ってくれてもいいんだぞ」 「い、いえ…もう少しだけ、キリのいい所まで進めたいんです」 「ならば少し休んでこい。…ひどい顔をしているぞ」 部長の優しさが身にしみる。言い方は少しぶっきらぼうでも、本当に部下の事を気に掛けてくれているのだ。 その好意にありがたく甘える事にした。 ふう… 缶コーヒーを片手に、休憩室に入る。 どうも目が乾いて仕方ない。ずーっとPCとにらめっこだもんな… コンタクト、外すか。今日は眼鏡も持ってきてるし… 「部長、戻りました」 「ああ…… !!」 部長が目を見開いて、オレの顔を凝視している。 え?なんだ?オレの顔、何か付いてる? 部長がこんな風に感情を動かすところは初めて見た。 手にした書類を机に無造作に置き、つかつかとこちらへ歩み寄ってくる。 「君…」 え、何なんだ?オレ、何か悪い事しちゃったかな?あ、あのミスとかあの時の失敗とかバレたとか!? 「その眼鏡は一体どうした」 「……へ?」 頭の中が整理できない。今、部長は、なんて言った? 「眼鏡だ。…さっきまでは、そんなものしていなかっただろう」 「あ、ああ…これは。コンタクトが剥がれてしまって…」 すい、とブリッジに部長の手がかかる。こんなときでも、オレは部長の手の美しさに見蕩れていた。 距離を詰められて、香水の香りが鼻腔をくすぐる。ラストノートの甘く深い香りと、部長の… …オレは、何を考えているんだ?というか、部長は何をしたいんだ? 「君は…」 部長は、とても切なそうに、笑った。 「君は、どこまで私を困らせたら気がすむんだ」 強く腕を引かれ、部長席の裏に連れて行かれる。そしてそのまま…床に押し倒され、抱きすくめられた。 疲労と驚きと混乱で何が起こっているのか全く理解できない。 でも、この人になら…何をされてもいいと思った。 朝の光で目を覚ますと、オレの上着はきちんとたたまれ、身体には毛布がかけられていた。 さらに机の上にあったはずの書類は全て処理されていた。そして… 部長は椅子をベッド代わりに、眠りについていた。 …この人の寝顔なんてものすごくレアなんじゃないだろうか。 今日も頑張ろう、と思った矢先に腰を鈍痛が襲う。 …今日も仕事にならないだろうな。特に… こんな部長の下では。
801リク「あなたの好きな場所」 ---- 好きな場所「オフィス」 ああ…疲れた…。 伸びをすると、全身が軋みをあげる。 目がかすんで、視界がハッキリしない。 今は決算期で、一年で一番忙しい時期だ。 時計は日付を越えようとするところまで迫っているのに、まだまだ書類の山は減る気配が無い。 …まあ、オレが要領悪いだけなのかもしれないけど… 現に同僚達はとっくに帰ってしまっている。 今このオフィスに残るのはオレと…部長の二人だけ。 部長もオレに合わせて残ってくれているんだろう。いたたまれない気持ちになった。 「部長…」「なんだ」 朝は一番に出社してきて、夜は必ず最後まで残る。部長はそういう人だ。 こんな時間だと言うのに、スリーピースのスーツにも、バックスタイルにした髪形にも一片の乱れも無い。 クールビューティって言葉、部長みたいな人の為にあるんだろうな…それに比べて、俺は… 「おい」 気が付くと部長が怪訝な目でこちらを見ている。 「何か用があるんじゃないのか?」 「は、はいっ!その…」 深い藍を湛えたその瞳に射竦められるとどぎまぎしてしまう。 「…今日はもう、帰ってくれてもいいんだぞ」 「い、いえ…もう少しだけ、キリのいい所まで進めたいんです」 「ならば少し休んでこい。…ひどい顔をしているぞ」 部長の優しさが身にしみる。言い方は少しぶっきらぼうでも、本当に部下の事を気に掛けてくれているのだ。 その好意にありがたく甘える事にした。 ふう… 缶コーヒーを片手に、休憩室に入る。 どうも目が乾いて仕方ない。ずーっとPCとにらめっこだもんな… コンタクト、外すか。今日は眼鏡も持ってきてるし… 「部長、戻りました」 「ああ…… !!」 部長が目を見開いて、オレの顔を凝視している。 え?なんだ?オレの顔、何か付いてる? 部長がこんな風に感情を動かすところは初めて見た。 手にした書類を机に無造作に置き、つかつかとこちらへ歩み寄ってくる。 「君…」 え、何なんだ?オレ、何か悪い事しちゃったかな?あ、あのミスとかあの時の失敗とかバレたとか!? 「その眼鏡は一体どうした」 「……へ?」 頭の中が整理できない。今、部長は、なんて言った? 「眼鏡だ。…さっきまでは、そんなものしていなかっただろう」 「あ、ああ…これは。コンタクトが剥がれてしまって…」 すい、とブリッジに部長の手がかかる。こんなときでも、オレは部長の手の美しさに見蕩れていた。 距離を詰められて、香水の香りが鼻腔をくすぐる。ラストノートの甘く深い香りと、部長の… …オレは、何を考えているんだ?というか、部長は何をしたいんだ? 「君は…」 部長は、とても切なそうに、笑った。 「君は、どこまで私を困らせたら気がすむんだ」 強く腕を引かれ、部長席の裏に連れて行かれる。そしてそのまま…床に押し倒され、抱きすくめられた。 疲労と驚きと混乱で何が起こっているのか全く理解できない。 でも、この人になら…何をされてもいいと思った。 朝の光で目を覚ますと、オレの上着はきちんとたたまれ、身体には毛布がかけられていた。 さらに机の上にあったはずの書類は全て処理されていた。そして… 部長は椅子をベッド代わりに、眠りについていた。 …この人の寝顔なんてものすごくレアなんじゃないだろうか。 今日も頑張ろう、と思った矢先に腰を鈍痛が襲う。 …今日も仕事にならないだろうな。特に… こんな部長の下では。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: