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魔王×勇者 ---- 人間も魔物も共存している世界。 祖父が偉大な勇者である少年は自分も勇者になることを夢見ていた。 平和な今の世の中に勇者は必要なく、 叶わぬ夢という事も成長するに従って理解していく。 小さな頃は口を開けば「勇者になる」と言っていたがそれもなくなった。 その頃少年に親友ができる。それは人間ではなく魔物の子どもだった。 どんな種類の魔物かはわからなかったが少年は気にしなかった。 頭が良くて魔法も使え剣の腕も立つ。何より一緒にいて楽しい。 少年はそんな魔物の子どもが大好きだった。 いつも2人で森や洞窟を探索しては、いつか2人で冒険に出たいと話していた。 新しく出来た夢によって少年は勇者になるという夢も諦める。 もし少年が勇者になればそれは人間と魔物が対立する世界になるということだから。 「俺、小さい頃は勇者になりたかったんだ。じいちゃんみたいな」 ある日少年は魔物の子どもにそう告白する。 それはもう過去の事で思い出話のつもりだった。 「君ならなれるよ」 でも魔物の子どもの反応は違っていた。 その夢を話して笑われなかったことは初めてで少年は驚く。 同時にやっぱり魔物の子どもはいい奴だと実感する。 「もう昔の話だ。今の世界には勇者なんて必要ないから。やっぱり平和が一番だよ」 そう言ってこの話は終りにしたつもりだった。 翌日も一緒に遊ぼうと思っていたがいつまで待っても魔物の子どもは現れない。 少年は次の日もそのまた次の日も待ち続けたが、いつまで経っても親友は姿を見せなかった。 その頃凶暴化した魔物に襲われたという事件が多発する。 壊滅させられた国もあると噂で聞く。 少年の村に住んでいた魔物も気がつけば姿が見えなくなっていた。 次第にそれが魔王の仕業だということが判明する。 各国で魔王討伐隊が結成されるが魔王を倒したという話は聞かず、 代わりに魔王による悪行の話ばかりが増えていく。 少年も魔王討伐の旅に出る事が決まる。 親友を捜す事ができるかもしれないという希望を抱いていた。 少年の国にも討伐隊は結成されていたがそれには属さず一人きりで旅を続ける。 立ち寄る村や町では必ず魔物が現れ少年はそれを退治した。 そんなことを繰り返しているといつしか勇者と呼ばれるようになる。 子どもの頃の夢が叶ったにも関わらず少年は少しも嬉しさを感じなかった。 親友については見つけるどころか少しの情報すら得られなかった。 すべての原因が魔王にあるなら自分が倒せば彼も姿を見せるはず。 いつしかそのように考えるようになっていた。 数年掛けて勇者は魔王のもとに辿り着く。 少年は精悍な青年へすっかり成長していた。 魔王は勇者が今まで見て来た中で最も恐ろしい姿をした魔物だった。 苦戦しながらも何とか倒す事に成功する。 倒れた魔王の身体が光ったかと思うと、そこには親友が倒れていた。 自分と同様に身体は成長していたが勇者にはすぐにわかった。 剣を放り投げ、身体を抱き起こす。 「どうして、お前が……」 「君の夢を、叶えたかったんだ」 「俺の夢?」 「僕を倒せば、本物の勇者に……」 その言葉に勇者は子どもの頃に話した過去の夢を思い出す。 「バカだな、お前。俺の夢は、お前と一緒に世界中を旅する事だ。 いつも2人で話していただろ」 魔物は困ったような笑顔を浮かべ、勇者に向かって手を伸ばした。 その指先が触れる前に砂に姿を変え、さらさらと流れ落ちた。
魔王×勇者 ---- 人間も魔物も共存している世界。 祖父が偉大な勇者である少年は自分も勇者になることを夢見ていた。 平和な今の世の中に勇者は必要なく、 叶わぬ夢という事も成長するに従って理解していく。 小さな頃は口を開けば「勇者になる」と言っていたがそれもなくなった。 その頃少年に親友ができる。それは人間ではなく魔物の子どもだった。 どんな種類の魔物かはわからなかったが少年は気にしなかった。 頭が良くて魔法も使え剣の腕も立つ。何より一緒にいて楽しい。 少年はそんな魔物の子どもが大好きだった。 いつも2人で森や洞窟を探索しては、いつか2人で冒険に出たいと話していた。 新しく出来た夢によって少年は勇者になるという夢も諦める。 もし少年が勇者になればそれは人間と魔物が対立する世界になるということだから。 「俺、小さい頃は勇者になりたかったんだ。じいちゃんみたいな」 ある日少年は魔物の子どもにそう告白する。 それはもう過去の事で思い出話のつもりだった。 「君ならなれるよ」 でも魔物の子どもの反応は違っていた。 その夢を話して笑われなかったことは初めてで少年は驚く。 同時にやっぱり魔物の子どもはいい奴だと実感する。 「もう昔の話だ。今の世界には勇者なんて必要ないから。やっぱり平和が一番だよ」 そう言ってこの話は終りにしたつもりだった。 翌日も一緒に遊ぼうと思っていたがいつまで待っても魔物の子どもは現れない。 少年は次の日もそのまた次の日も待ち続けたが、いつまで経っても親友は姿を見せなかった。 その頃凶暴化した魔物に襲われたという事件が多発する。 壊滅させられた国もあると噂で聞く。 少年の村に住んでいた魔物も気がつけば姿が見えなくなっていた。 次第にそれが魔王の仕業だということが判明する。 各国で魔王討伐隊が結成されるが魔王を倒したという話は聞かず、 代わりに魔王による悪行の話ばかりが増えていく。 少年も魔王討伐の旅に出る事が決まる。 親友を捜す事ができるかもしれないという希望を抱いていた。 少年の国にも討伐隊は結成されていたがそれには属さず一人きりで旅を続ける。 立ち寄る村や町では必ず魔物が現れ少年はそれを退治した。 そんなことを繰り返しているといつしか勇者と呼ばれるようになる。 子どもの頃の夢が叶ったにも関わらず少年は少しも嬉しさを感じなかった。 親友については見つけるどころか少しの情報すら得られなかった。 すべての原因が魔王にあるなら自分が倒せば彼も姿を見せるはず。 いつしかそのように考えるようになっていた。 数年掛けて勇者は魔王のもとに辿り着く。 少年は精悍な青年へすっかり成長していた。 魔王は勇者が今まで見て来た中で最も恐ろしい姿をした魔物だった。 苦戦しながらも何とか倒す事に成功する。 倒れた魔王の身体が光ったかと思うと、そこには親友が倒れていた。 自分と同様に身体は成長していたが勇者にはすぐにわかった。 剣を放り投げ、身体を抱き起こす。 「どうして、お前が……」 「君の夢を、叶えたかったんだ」 「俺の夢?」 「僕を倒せば、本物の勇者に……」 その言葉に勇者は子どもの頃に話した過去の夢を思い出す。 「バカだな、お前。俺の夢は、お前と一緒に世界中を旅する事だ。 いつも2人で話していただろ」 魔物は困ったような笑顔を浮かべ、勇者に向かって手を伸ばした。 その指先が触れる前に砂に姿を変え、さらさらと流れ落ちた。 ---- [[ある日目覚めたら魔法がかかっていた>15-069]] ----

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