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本屋の店員×BL本を買う常連
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秋原は今、最大のピンチに直面していた。
「よぉ、アキじゃん。俺の事覚えてる?」
いつもの本屋のレジに居たのが、小学校時代の同級生だったからだ。
秋原は、今すぐにこの場から消え去りたい衝動に駆られた。
別に、相手は同性だから、ヤラシイ本の購入現場を見られてしまうくらいは構わない。
だが、今己が持っている本は、ヤラシイ事はヤラシイが、BL本。
ましてや、片田舎の本屋で元同級生なんて、下手したら、己の趣味が1日で元級友に伝わってしまう。
秋原は、瞬時にそこまで考えた後、出しかけた本を引っ込めた。
「久しぶりだな、寺田。なに、お前ここでバイト始めたのか?」
「母さんがギックリ腰になってさ、その代打だよ」
苦笑する寺田に、秋原はふと、眉をひそめた。
「あれ、でも寺田なんて名字の店員さんいたか?俺知らないぞ」
「うち、別姓なんだよ。多分、福澤って言えば分かるか?」
秋原の脳裏に、衝撃が走る。
なぜなら、彼女こそが、自分をBLの世界へと目覚めさせたその人だったからだ。
なぜなら彼女こそが、自分をBLの世界へと目覚めさせたその人だったからだ。
さらに寺田は、爆弾を落とした。
「そういや母さんが、お前が定期購読を頼んでる本、届いたって言ってたぞ。なんだっけ、めんずまっくす?とか言うやつなんだけどさ」
そう、今日は秋原が定期購読するほど大好きな、アンソロジー本の発売日だった。
しかもテーマは、調教。
手に持っているのは、そのバックナンバーで、幼なじみがテーマだ。
寺田が背後の棚を探っている間、秋原は遠い目で現実逃避をしていた。
せっかく、家から離れた場所の本屋を、BL本調達用の拠点にしたのに、と内心地団駄踏んでると、例のアンソロ本を持ってきた寺田が、困惑していた。
「どうした寺田、顔真っ赤だぞ?」
秋原の問いかけに、寺田は若干視線を逸らし気味に、一枚のカードのついた本をカウンターに置いた。
そこには、キレイな文字で、こう書かれていた。
『息子へ
妄想もいいけど、こういうのを見て勉強なさい』
秋原は眩暈がした。
己の本を使って、息子に伝言するな、とか、元級友と知っててやったな、とか色々あったが、寺田の発言に度肝を抜かれた。
「なぁ、こういう事について勉強したいんだけど、お前、他にも何か持ってるか?」
秋原は、黙って、手に持っていた本を差し出した。
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[[本屋の店員×BL本を買う常連>21-069-1]]
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