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学校の怪談話 ---- ○月×日真夜中の2時、綺麗な歌声が聞こえる音楽室の前に僕は居る。 僕の足は情けない位ガクガクと震えている、気を抜いたら泣いてしまいそうだ。 今日、学校からの帰り道でうちの学校の怖い噂で盛り上がった。 その噂は「○月×日の夜中2時に音楽室から凄く綺麗な歌声が聞こえる そしてその歌を聴いた者は皆幽霊の虜になり帰ってこれなくなる」という話だった。 その時の僕は幽霊なんてさらさら信じていなかったから、話半分で聞いていたし もし夜学校に忍び込む事になっても参加するつもりなんかなかった。 …だけど、僕はすっごく負けず嫌いだ。 「高橋ぃ、お前本当は怖くてしかたねーんだろ!」 なんてからかわれたら、つい過剰に反論してしまう。 結局売り言葉に買い言葉が続き「皆で忍び込む」から「僕一人で忍び込む」に変わってしまった。 なぜあんな安い挑発に乗ってしまったのかと夕方頃の僕を恨む。 もう数十分はこんな風に夕方の事をぐるぐる考えながら立ち竦んでいる。 正直ダッシュで帰りたいけど、音楽室にある音符型の磁石を持って行かなきゃ一生弱虫扱いだ! 僕が覚悟を決めて扉に手をかけたようとした瞬間、扉がガラッと開いた。 「うっうわああああああああ!!」 思わず大声を上げてしまう、腰を抜かさなかったのがせめてもの救いだ。 「…うるせー声ぇ。」 扉の向こう、僕の真前には活発そうな男の子が立っていた。 ツリ目にツリ眉、短い髪、おデコには十字の傷、まさにやんちゃ少年といった風貌だ。 ただし体が透けて淡く光ってる事を除けばだけど。 僕はポカンと口を開いたまま固まってしまう。 歌っているのは女の幽霊だと思っていた、けどあの綺麗な声は目の前の少年から聞こえてきた。 「ははっ、変な顔。」 ほら今も。 彼の口からあの甘い声を聞くと何故か心臓がドキドキしてくる。 この気持ちは隣のクラスのミホちゃんに一目惚れした時に似てる気がする。 「ね、ねえ!君の名前は…?」 僕は無意識のうちに彼の手を握ってそう聞いていた。 今度は彼がぽかんと口を開ける。 少し戸惑うみたいに目を伏せてから、綺麗な声で彼は喋る。 「おまえは変わった子だな、普通俺は怖いもんなんだろ?」 「全ッ然怖くない!!」 そう言った彼が少し寂しそうに見えて僕は即答した。 だいいち、さっきまでガクガク震えてたなんて格好悪い事言いたく無いし それに今は少しでも長く彼と話してみたい、彼のことを知りたい。 「名前教えてよ!僕また絶対会いにくるからその時君を呼び出せないとすげぇ困る!」 「…次会いに来た時は、二度と帰れない様に閉じ込めるかもよ?」 「それでもいいよ!もっかい会えるならそれでもいい!」 「俺の噂話知らないのか?それとも俺が生きてるって思ってたり?」 「噂も知ってるし、幽霊だって分かってる、けど君は何か怖くない。」 何て答えようか色々考えてみたけど、結局口から出るのは正直な言葉だけ 彼の声には嘘をつかせない圧力みたいな物がある。 「…んー、じゃあ約束守ってくれるなら教えてやる。」 「約束?」 「そう、毎日来ない事と人を連れてきたりしない事。」 「なんで毎日来たら駄目なの?」 「毎日来たらお前が死ぬから。」 「僕の為!?嬉しいなあ絶対に守る、約束する!」 「…二つ目は俺の為なんだけど、まあいいや。  俺の名前はレイ太、じゃあこれからよろしく変な人間。」 にっこりとニヤリの中間みたいな顔で笑ったレイ太君を見て 僕の心臓はまたドキドキと激しく脈打ちだした。 そして、もしかするとこれが本気の初恋かもしれない、と密かに僕は思ったのだ。 ----   [[エアコンと扇風機>22-019]] ----
学校の怪談話 ---- ○月×日真夜中の2時、綺麗な歌声が聞こえる音楽室の前に僕は居る。 僕の足は情けない位ガクガクと震えている、気を抜いたら泣いてしまいそうだ。 今日、学校からの帰り道でうちの学校の怖い噂で盛り上がった。 その噂は「○月×日の夜中2時に音楽室から凄く綺麗な歌声が聞こえる そしてその歌を聴いた者は皆幽霊の虜になり帰ってこれなくなる」という話だった。 その時の僕は幽霊なんてさらさら信じていなかったから、話半分で聞いていたし もし夜学校に忍び込む事になっても参加するつもりなんかなかった。 …だけど、僕はすっごく負けず嫌いだ。 「高橋ぃ、お前本当は怖くてしかたねーんだろ!」 なんてからかわれたら、つい過剰に反論してしまう。 結局売り言葉に買い言葉が続き「皆で忍び込む」から「僕一人で忍び込む」に変わってしまった。 なぜあんな安い挑発に乗ってしまったのかと夕方頃の僕を恨む。 もう数十分はこんな風に夕方の事をぐるぐる考えながら立ち竦んでいる。 正直ダッシュで帰りたいけど、音楽室にある音符型の磁石を持って行かなきゃ一生弱虫扱いだ! 僕が覚悟を決めて扉に手をかけたようとした瞬間、扉がガラッと開いた。 「うっうわああああああああ!!」 思わず大声を上げてしまう、腰を抜かさなかったのがせめてもの救いだ。 「…うるせー声ぇ。」 扉の向こう、僕の真前には活発そうな男の子が立っていた。 ツリ目にツリ眉、短い髪、おデコには十字の傷、まさにやんちゃ少年といった風貌だ。 ただし体が透けて淡く光ってる事を除けばだけど。 僕はポカンと口を開いたまま固まってしまう。 歌っているのは女の幽霊だと思っていた、けどあの綺麗な声は目の前の少年から聞こえてきた。 「ははっ、変な顔。」 ほら今も。 彼の口からあの甘い声を聞くと何故か心臓がドキドキしてくる。 この気持ちは隣のクラスのミホちゃんに一目惚れした時に似てる気がする。 「ね、ねえ!君の名前は…?」 僕は無意識のうちに彼の手を握ってそう聞いていた。 今度は彼がぽかんと口を開ける。 少し戸惑うみたいに目を伏せてから、綺麗な声で彼は喋る。 「おまえは変わった子だな、普通俺は怖いもんなんだろ?」 「全ッ然怖くない!!」 そう言った彼が少し寂しそうに見えて僕は即答した。 だいいち、さっきまでガクガク震えてたなんて格好悪い事言いたく無いし それに今は少しでも長く彼と話してみたい、彼のことを知りたい。 「名前教えてよ!僕また絶対会いにくるからその時君を呼び出せないとすげぇ困る!」 「…次会いに来た時は、二度と帰れない様に閉じ込めるかもよ?」 「それでもいいよ!もっかい会えるならそれでもいい!」 「俺の噂話知らないのか?それとも俺が生きてるって思ってたり?」 「噂も知ってるし、幽霊だって分かってる、けど君は何か怖くない。」 何て答えようか色々考えてみたけど、結局口から出るのは正直な言葉だけ 彼の声には嘘をつかせない圧力みたいな物がある。 「…んー、じゃあ約束守ってくれるなら教えてやる。」 「約束?」 「そう、毎日来ない事と人を連れてきたりしない事。」 「なんで毎日来たら駄目なの?」 「毎日来たらお前が死ぬから。」 「僕の為!?嬉しいなあ絶対に守る、約束する!」 「…二つ目は俺の為なんだけど、まあいいや。  俺の名前はレイ太、じゃあこれからよろしく変な人間。」 にっこりとニヤリの中間みたいな顔で笑ったレイ太君を見て 僕の心臓はまたドキドキと激しく脈打ちだした。 そして、もしかするとこれが本気の初恋かもしれない、と密かに僕は思ったのだ。 ----   [[エアコンと扇風機>22-029]] ----

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