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言葉が通じない ---- 「あーあ、やってもた」 ほんま最悪や。 放課後の個人授業っつう響きはエロうてドキドキするもんやのにな。 教室で待ってんのが野郎やと思うだけで足重いわ。 まあ英語で赤点取ってもたんは自分の勉強不足やからしゃあないけど、 これ以上成績落として今バイト禁止されたらあかんて。 長い事口説いてた彼女、もう少しでモノに出来そうやのに。 はあ、せめて補習受けるんやったらカンナ女史が良かったわ。 こんな日に限って休みなんてほんまついてへん。 委員長って堅物とかクールとか無愛想とかええ噂聞かんし、 明日の追試ら無かったら、オレも絶対近づきたくないタイプや。 あんな堅物を絵に描いたような奴と補習どころか、会話成立するかも怪しいわ。 「はあぁ・・・」 ドアの前に着いてもた。 しゃあないわ、自分から頼んだんやし数時間くらい真面目に勉強しよ。 「委員長ー」 そう言う訳でいつもより重たく感じるドアを開けた訳や。 「すまんな、時間取らせてもて。予定とか無かったんか?」 「私は大丈夫ですよ。まあこうなると思ってましたし、さあ前にどうぞ」 ご丁寧に向かい合わせに机同士がきっちりくっ付けてあり、委員長は既にテキストらしきモン を広げてオレを待っとった。 用意された向かい側の席に腰掛けると、委員長は眼鏡をついと持ち上げた。 改めて顔見合わすんら初めてやけど、何や整った顔してるやんコイツ。 いわゆる眼鏡取ったら美形タイプってやつか。 でも浮いた噂一つ聞かんとこみると、典型的な勉強が恋人タイプなんやろな。 「じゃあ早速ですが始め」 「ちょっと待てや。その仰々しい敬語止めへん?かたぐるしてしゃあないわ」 「貴方だって転校してから五ヶ月と三日経ちますが、関西弁のままでしょう」 日数まですぐ出てくるなんてえらい記憶力ええな。クラストップってこんなもんか? 「因みに貴方が英語がとんでもなく苦手で、今まで奇跡的に追試を免れてきた事は 分かってましたよ。まあ貴方が私を頼ってくるのは予想外・・・でしたが」 オレの英語の成績の悪さってそんなに知られてんのか、堪らんな。 「訂正させて頂きますが、貴方に教えるのは迷惑ではありませんし、寧ろ、 貴方の関西弁もきっと耳に心地よく響くものだと思ってますよ」 ん?最後の文章何か変な感じしたけど、気のせいやんな。 「そやろ、関西弁はええで。あったかみ有るしツッコミもしやすいで」 なんやコイツ、とっつき悪いと思とったけど案外話し通じるやん。 時間取らせてんのに嫌な顔一つせえへんし、てか徹底して表情変わらんな。 「敬語は個人的嗜好ですので我慢して下さい。じゃあ始めましょう。 私が書いた英語を読んで訳して下さい」 「分かったわ、まあお手柔らかにな」 「では基本から」 言うなり委員長がノートに何かを書いてオレに渡す。 「読んで下さい」 「は?!・・・これ、読むん?」 そこには綺麗な字で 『BANANA』 と一言だけ書かれとった。 「お前、馬鹿にしとんのか?!」 「基本中の基本です!」 あまりにも当たり前の様に言い放たれ、オレはその剣幕に負け 「ば、バナナ」 叱られて言い訳するガキの様にその単語を口にした。 「良いでしょう、じゃあ次はこれです」 オレからノートを受け取った委員長はさらさらと書き加え、またオレに返した。 今度は文章みたいや。 『I like bananas. What do you do?』 「アイライクバナナズ、ワットドゥユードゥ?オレはバナナが好きや、お前はどうやねん?」 またバナナかいな・・・。 「非常に好物ですよ。じゃあ次」 「ちょ、今のって正解でええんやんな?」 「勿論正解です。訳し方も貴方らしくてとても興味深いですね」 「はあ、そりゃどうも」 「じゃあ次こちらで」 『What do you like bananas?』 「ワット、ドゥユーライク、バナナ?・・・何の、ちゃうな。どんなバナナがええねん?」 「結構です。私は少し硬めで、握ると片手から先端がはみ出るくらいのサイズが好みです」 コイツまさか・・・バナナフェチなんか?? 一瞬奴の周りに花畑ならぬバナナ畑を見てもた。 「基本は分かってるみたいなので、続けて応用文を出します。こちらで」 『I want a banana』 またバナナ・・・ 「なあ、何でバナナなん?リンゴとかミカンとかやったらあかんのか?」 「バナナは基本です。が、ソーセージやウインナーでも応用は利きます。 あ、今の忘れないで下さい。まあ全て個人的嗜好の問題ですよ」 「はあ・・・?」 何だか段々会話が成立しにくくなってる気がするんやけど。 「続けましょう、こちらでお願いします。これでバナナは最後です」 『I want to eat your banana』 「オレはお前のバナナが食いたい??」 「のですが?」 「はあ?オレのバナナって・・・お前さっきからオレを猿か何かと勘違いしてんのか? んなもん持ち歩いてる訳ないやろアホ!」 いや、今のはちょっと言い過ぎか。明らかに変な補習やけどまあ、付き合って貰ってる訳やし。 「何やよう分からんけど、お前がバナナをこよなく愛してる事だけはよう分かった。 補習のお礼にでもやるわ」 「本当ですか!」 「わっ!いきなり何や」 今まで表情一つ変えんかった委員長が席から身を乗り出して、顔を輝かせた。 「別にバナナの一本や、二本くらい」 帰りに一緒に買い食いでもしたらええわ。 「有難うございます。じゃあさっさと終わらせましょう、次はこちらです」 『I love you』 何や一気に問題の雰囲気変わったな 「アイラブユーって、好きやねん?」 「私もです、 「?」 「じゃあこちら」 「アイウオンチュー?・・・何でこんな口説き文句、なん?こんなん試験に出」 「私もずっと同じ想いでした」 「って人の話聞かんかい、お前日本語通じて」 「じゃあ最後、ですよ」 そう言って奴はノートにその文章を書いた後、ゆっくり席を立った。 何や、この今まで感じた事のない危機感は・・・! 震える手で片付け始めたオレの背後にいつの間にか影が出来、目の前にその文章が書かれたノートが静かに置かれた。 『I want to make love with you』 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「読んで頂けなさそう、ですね」 「ったり前やん!ってかお前なんなん?はっきり言ってむっちゃ不気味なんやけど!」 すると委員長はオレの手を取りペンを持たせノートにこう書いた。 『I am a homosexual』 「アイアムア・・・ほ・・・」 「英語が苦手な貴方ですから通じにくいのも無理ないですね。ではこれで通じますよね?」 そして勝手に人の赤ペンに持ち変えて、始めの四文字にしっかり○印を付けた。 「H・O・M・O・・・ほ、モ・・・まさか・・・」 「じゃあ頂けますか、貴方の、バナナ」 「ほほほほほほほなさいならっ」 椅子から転げるように教室を飛び出したオレには 「I'm not escape from you、もう逃がしませんよ」 と言う委員長の呟きはもう通じる事は無かった。 人生初、脱兎の如く逃げ帰ったオレは自分の貞操を守った事にほっとしたんか、ある事に初めて気づいた。 「手ぶら・・・明日の追試・・・」 おまけに夢に出てきたのがバナナ畑に囲まれてるオレの姿で、奴の意味する「バナナ」が頭を 駆け巡ってるような状態で、次の日の追試で合格など出来る訳もなく、 「一週間後再追試するから、それまで委員長にしっかり英語教えて貰え」 教師から死刑宣告を受けたオレは、それから一週間毎日バナナを鞄に入れて登校した。 勿論、オレの『BANANA』を咥えられる前に、オレのバナナを咥えさせる為にな。 ---- [[ノンケのイケメン→ハイテンションなオカマ>21-039]]
言葉が通じない ---- 「あーあ、やってもた」 ほんま最悪や。 放課後の個人授業っつう響きはエロうてドキドキするもんやのにな。 教室で待ってんのが野郎やと思うだけで足重いわ。 まあ英語で赤点取ってもたんは自分の勉強不足やからしゃあないけど、 これ以上成績落として今バイト禁止されたらあかんて。 長い事口説いてた彼女、もう少しでモノに出来そうやのに。 はあ、せめて補習受けるんやったらカンナ女史が良かったわ。 こんな日に限って休みなんてほんまついてへん。 委員長って堅物とかクールとか無愛想とかええ噂聞かんし、 明日の追試ら無かったら、オレも絶対近づきたくないタイプや。 あんな堅物を絵に描いたような奴と補習どころか、会話成立するかも怪しいわ。 「はあぁ・・・」 ドアの前に着いてもた。 しゃあないわ、自分から頼んだんやし数時間くらい真面目に勉強しよ。 「委員長ー」 そう言う訳でいつもより重たく感じるドアを開けた訳や。 「すまんな、時間取らせてもて。予定とか無かったんか?」 「私は大丈夫ですよ。まあこうなると思ってましたし、さあ前にどうぞ」 ご丁寧に向かい合わせに机同士がきっちりくっ付けてあり、委員長は既にテキストらしきモン を広げてオレを待っとった。 用意された向かい側の席に腰掛けると、委員長は眼鏡をついと持ち上げた。 改めて顔見合わすんら初めてやけど、何や整った顔してるやんコイツ。 いわゆる眼鏡取ったら美形タイプってやつか。 でも浮いた噂一つ聞かんとこみると、典型的な勉強が恋人タイプなんやろな。 「じゃあ早速ですが始め」 「ちょっと待てや。その仰々しい敬語止めへん?かたぐるしてしゃあないわ」 「貴方だって転校してから五ヶ月と三日経ちますが、関西弁のままでしょう」 日数まですぐ出てくるなんてえらい記憶力ええな。クラストップってこんなもんか? 「因みに貴方が英語がとんでもなく苦手で、今まで奇跡的に追試を免れてきた事は 分かってましたよ。まあ貴方が私を頼ってくるのは予想外・・・でしたが」 オレの英語の成績の悪さってそんなに知られてんのか、堪らんな。 「訂正させて頂きますが、貴方に教えるのは迷惑ではありませんし、寧ろ、 貴方の関西弁もきっと耳に心地よく響くものだと思ってますよ」 ん?最後の文章何か変な感じしたけど、気のせいやんな。 「そやろ、関西弁はええで。あったかみ有るしツッコミもしやすいで」 なんやコイツ、とっつき悪いと思とったけど案外話し通じるやん。 時間取らせてんのに嫌な顔一つせえへんし、てか徹底して表情変わらんな。 「敬語は個人的嗜好ですので我慢して下さい。じゃあ始めましょう。 私が書いた英語を読んで訳して下さい」 「分かったわ、まあお手柔らかにな」 「では基本から」 言うなり委員長がノートに何かを書いてオレに渡す。 「読んで下さい」 「は?!・・・これ、読むん?」 そこには綺麗な字で 『BANANA』 と一言だけ書かれとった。 「お前、馬鹿にしとんのか?!」 「基本中の基本です!」 あまりにも当たり前の様に言い放たれ、オレはその剣幕に負け 「ば、バナナ」 叱られて言い訳するガキの様にその単語を口にした。 「良いでしょう、じゃあ次はこれです」 オレからノートを受け取った委員長はさらさらと書き加え、またオレに返した。 今度は文章みたいや。 『I like bananas. What do you do?』 「アイライクバナナズ、ワットドゥユードゥ?オレはバナナが好きや、お前はどうやねん?」 またバナナかいな・・・。 「非常に好物ですよ。じゃあ次」 「ちょ、今のって正解でええんやんな?」 「勿論正解です。訳し方も貴方らしくてとても興味深いですね」 「はあ、そりゃどうも」 「じゃあ次こちらで」 『What do you like bananas?』 「ワット、ドゥユーライク、バナナ?・・・何の、ちゃうな。どんなバナナがええねん?」 「結構です。私は少し硬めで、握ると片手から先端がはみ出るくらいのサイズが好みです」 コイツまさか・・・バナナフェチなんか?? 一瞬奴の周りに花畑ならぬバナナ畑を見てもた。 「基本は分かってるみたいなので、続けて応用文を出します。こちらで」 『I want a banana』 またバナナ・・・ 「なあ、何でバナナなん?リンゴとかミカンとかやったらあかんのか?」 「バナナは基本です。が、ソーセージやウインナーでも応用は利きます。 あ、今の忘れないで下さい。まあ全て個人的嗜好の問題ですよ」 「はあ・・・?」 何だか段々会話が成立しにくくなってる気がするんやけど。 「続けましょう、こちらでお願いします。これでバナナは最後です」 『I want to eat your banana』 「オレはお前のバナナが食いたい??」 「のですが?」 「はあ?オレのバナナって・・・お前さっきからオレを猿か何かと勘違いしてんのか? んなもん持ち歩いてる訳ないやろアホ!」 いや、今のはちょっと言い過ぎか。明らかに変な補習やけどまあ、付き合って貰ってる訳やし。 「何やよう分からんけど、お前がバナナをこよなく愛してる事だけはよう分かった。 補習のお礼にでもやるわ」 「本当ですか!」 「わっ!いきなり何や」 今まで表情一つ変えんかった委員長が席から身を乗り出して、顔を輝かせた。 「別にバナナの一本や、二本くらい」 帰りに一緒に買い食いでもしたらええわ。 「有難うございます。じゃあさっさと終わらせましょう、次はこちらです」 『I love you』 何や一気に問題の雰囲気変わったな 「アイラブユーって、好きやねん?」 「私もです、 「?」 「じゃあこちら」 「アイウオンチュー?・・・何でこんな口説き文句、なん?こんなん試験に出」 「私もずっと同じ想いでした」 「って人の話聞かんかい、お前日本語通じて」 「じゃあ最後、ですよ」 そう言って奴はノートにその文章を書いた後、ゆっくり席を立った。 何や、この今まで感じた事のない危機感は・・・! 震える手で片付け始めたオレの背後にいつの間にか影が出来、目の前にその文章が書かれたノートが静かに置かれた。 『I want to make love with you』 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「読んで頂けなさそう、ですね」 「ったり前やん!ってかお前なんなん?はっきり言ってむっちゃ不気味なんやけど!」 すると委員長はオレの手を取りペンを持たせノートにこう書いた。 『I am a homosexual』 「アイアムア・・・ほ・・・」 「英語が苦手な貴方ですから通じにくいのも無理ないですね。ではこれで通じますよね?」 そして勝手に人の赤ペンに持ち変えて、始めの四文字にしっかり○印を付けた。 「H・O・M・O・・・ほ、モ・・・まさか・・・」 「じゃあ頂けますか、貴方の、バナナ」 「ほほほほほほほなさいならっ」 椅子から転げるように教室を飛び出したオレには 「I'm not escape from you、もう逃がしませんよ」 と言う委員長の呟きはもう通じる事は無かった。 人生初、脱兎の如く逃げ帰ったオレは自分の貞操を守った事にほっとしたんか、ある事に初めて気づいた。 「手ぶら・・・明日の追試・・・」 おまけに夢に出てきたのがバナナ畑に囲まれてるオレの姿で、奴の意味する「バナナ」が頭を 駆け巡ってるような状態で、次の日の追試で合格など出来る訳もなく、 「一週間後再追試するから、それまで委員長にしっかり英語教えて貰え」 教師から死刑宣告を受けたオレは、それから一週間毎日バナナを鞄に入れて登校した。 勿論、オレの『BANANA』を咥えられる前に、オレのバナナを咥えさせる為にな。 ---- [[ノンケのイケメン→ハイテンションなオカマ>21-039]]

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