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さよならの季節
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もう少しで4月になる。
卒業生は新入生や新入社員となり、
彼らはさよならの言葉を残して新たな旅立ちを迎える。
丁度12年前の今日、卒業式の日、私は大切な友人と別れを迎えた。
高校時代の3年間、初対面から、ひたすら眩しい彼の笑顔に惹かれ続けていた。
地味な私と違って彼は明るく賑やかで、友人も多く、私の記憶の中では彼の周りにはいつも側に誰かがいた。
それなのに、何処が良かったのか彼は私をいたく気に入り、私にだけ、やけにくっついて回った。
彼は私を純粋に、本当の親友のように扱ってくれた、そう思う。
そして、私は親友という文字通りのその関係が心底から、辛かった。
「ずっと好きだった」「もう親友では居られない」
私は彼に想いを告げた。もうそれ以上行き場のない想いを抱えては居られなかった。
「知って欲しかっただけだから」
驚いた彼の顔に怯えた私は、返事も聞かずそう言い残し、
彼の呼び止める声も無視してその場を逃げるように去った。
進学予定の大学名もこの時のためにずっと誤魔化し、伏せていた。
もう二度と会うこともない様に、あの時はそうしたかった。
今でも思い出せる。去り際に見た彼の顔。
あれから10年以上が経っても、この季節になると否応にも思い出してしまう。
返事を聞いていれば違う今があったのかもしれない。
あの後直ぐに直ぐメールアドレスを買えなければ、返事は届いたのだろうか。
彼は優しかったし、驚いても手酷い振り方はしなかったかもしれない。
それなのに、もし彼が同性愛に嫌悪感を示す人間で、辛辣な言葉を浴びせられていたらと考えると、
また今年も電話のボタンを押す手が止まる。
12年越しの返事を尋ねる勇気は未だに沸かない。
彼への気持ちはあの頃と同じまま、来年も同じようにしてこのさよならの季節を迎えるのだろう。
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[[受けの逞しい筋肉にうっとりする攻め>20-829]]
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