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せいろがん ---- 「おい」 「はい、なんですか先輩」 「てめぇナヨっちい癖にあんまり調子乗ってんじゃねぇぞ」 「ナヨっちい、ですか」 「なんだよ今の世の中はよぉ、やたら優しさだの取っ付きやすさだのばっかり有り難りやがって」 「癒やしブームなんかもありましたしね」 「大事なのは強さだろうが! いざという時優しさで人が苦しみから救われるか!?」 「確かに、優しいばかりじゃ駄目かもしれません」 「駄目なんだよ! なのに最近の奴らは俺が臭いとか身体に悪そうとか、馬鹿げた理由で避けやがる」 「……」 「――悪い。ただの八つ当たりだな、こんなの」 「そんな、謝らないで下さい」 「ま、価値観なんざ時代時代で真逆にだって変わるもんだしな。 今は俺みたいなアクの強いのより、お前みたいな穏やかで見た目もいい奴が――あ、いや」 「先輩、僕のことそんな風に思っててくれたんですか?」 「…………あぁそうだよ! お前色白いし俺と違って臭くもないし安全だし! 正直憧――妬ましかったんだよ!! 笑えよ畜生!」 「笑うわけないじゃないですか」 「!?」 「僕はただの乳酸菌だから、先輩みたいに歯痛は止められない」 「それはそうだろうが……」 「さっき先輩が言った通り、先輩のアクの強さは効き目の強さの証なんです。 その強さにも、百年愛され続けた歴史にも。僕だって、憧れてるんです」 「なっ、お前、お、俺は別に……っ、変なこと言ってんじゃねぇぞコラ!」 「ふふ、すみません」 「笑ってんじゃねーか! ……ありがとな」 「? 何か言いました?」 「言ってねーよ! ――おら仕事だ、黙っとけ!!」 「え、何でお前んちセヰロガンとビヲフヱルミン両方あんの?」 「症状で使い分けてるんだよ。好きな方飲んでいいぞ」 ---- [[「僕はゲイなんだ」>20-789]]

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