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怖い顔×怖い顔 ---- 「笑う子も泣かす花屋のゴルゴ」とは、母が俺に付けたあだ名だった。 確かに俺は背は高い、眉は太いがそりゃないだろ…と思った。 が、近所の小学生にはすっかりお馴染みになってしまったようで、 悪戯っぽく「ゴルゴ~!」と叫んでは逃げていく。 背中から撃ったろかクソガキ。 そんなある日、最近転校してきたらしい小学生がひとり、花を買いに来た。 入院中の姉に小さな花束をあげたい、と話すそいつの やけに長い前髪の隙間から、生々しい傷痕が覗いていて思わず手が止まった。 傷ついた子供は敏感だった。 「これ、怖いでしょ?へへ…」と弱々しく笑う彼に、 何も言えず、ただ花束を造ることしか出来なかった。 その後もそいつは、ウチの店に寄っては、花を買ったり鉢を見たりしていた。 植物が好きらしい、話をしてやれば興味深そうに聞くので、俺もついつい色んな話をする。 常連サービスだと言って花の種を分けてやったら、珍しくいい笑顔を見せたので、 俺までなんだか嬉しくなってしまった。 ある日、小学校から依頼されて花壇の整備をしに行った。 校庭でサッカーをするクソガキが、俺を目ざとく見つけて 「ゴルゴが来たー!」と囃したてる。 その声を聞き付けたのか、校舎から常連が飛び出してきた。 「何しに来たの!?」と嬉しそうに俺にまとわりつく。 それを見たクソガキが、さらに囃し立てる。 「ゴルゴがフランケンと手を組んだぞー!!」 瞬間、暗い顔になった常連を見て、そいつの前髪が長い理由がわかった。 「…しょうがないんだ、へへ…」 と無理矢理笑った顔を見て、何かキレた。 常連をひょいと肩車し、グラウンドに向かって歩く。 からかい調子ではしゃぐクソガキの頭をめっしりと捕まえて 「こいつは俺の友達なんだよ、いじめたら…背中から撃つぞ。」 と、なるべく怖い声ですごんでやった。 青い顔してうなずくクソガキ。 まだまだ子供だ。 常連を肩から降ろし、背中を叩く。 クソガキの1人が 「…お前さぁ~…サッカー出来る?」と話し掛ける。 俺は振り返らずに花壇に戻り、黙って小学校をあとにした。 子供たちがはしゃぐ声を聞きながら。 ---- [[慣らす>20-619]] ----

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