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チョコレート×マシュマロ ---- 冷え切った俺の体と心は、カチカチに固まっていた。 けれどそれは、強い力が加わればたちまちぽきりと折れてしまう脆さでもあった。 そんな俺と一緒になりたいと言うのか。その汚れない身を汚してまでも? 「君が僕を貫いてくれればいい」 恐れを知らぬ眼差しで彼は言った。 「もしくは、僕を潰してくれ。その腕で力一杯抱きしめて」 「馬鹿を言うな、俺は一人が気に入ってるんだ それに簡単じゃないぞ、そんなことしたらお前は元のお前じゃなくなる」 拒んだ。たとえようもなく惹かれる気持ちを押し殺して。 なのに、彼は晴れやかに笑うんだ。 「いいんだよ。確かに僕は元の僕じゃなくなるだろう、そして君も。 でもそれが今より良くないなんて、どうして思うの?」 なんのためらいもなく、白い手が差し出される。 「馬鹿、俺にさわるな」 「どうして?」 小首を傾げた。すべてを受け入れる柔らかな声。 「優しくされるのが怖い? ……僕は、君とひとつになりたい」 思わずよろめいた。言葉は、俺というかたくなな塊を溶かすのに十分な熱を秘めていた。 もはや虚勢は崩れた。俺は両手で顔を覆う。 「……お前を汚したくないんだ」 柔らかい肌が、そっと寄り添う。だめだ、だめだ、俺にさわっては…… 「僕は汚れることなんかちっとも構わない……ううん、汚れたなんて思わないよ」 彼は俺を包み込んだ。 俺の指が、頬が……すべてが、彼の中に飲み込まれていく。 暖かい体温に全身が溶かされていく。 ああ、そうだ、と遠い記憶がよみがえる。原始の記憶。形もなく、無垢で純粋だったあの頃…… もはや俺なのか彼なのか、その境は判然とせず、俺は彼の中に。彼は俺を中にはらんで。 彼の舌が淫靡な音をたてて俺を吸う。 「思ったとおりだ……君はとても、甘い」 口元をドロドロに汚して、恍惚とあえいだ。 ---- [[期間限定の恋>20-549]] ----
チョコレート×マシュマロ ---- 冷え切った俺の体と心は、カチカチに固まっていた。 けれどそれは、強い力が加わればたちまちぽきりと折れてしまう脆さでもあった。 そんな俺と一緒になりたいと言うのか。その汚れない身を汚してまでも? 「君が僕を貫いてくれればいい」 恐れを知らぬ眼差しで彼は言った。 「もしくは、僕を潰してくれ。その腕で力一杯抱きしめて」 「馬鹿を言うな、俺は一人が気に入ってるんだ それに簡単じゃないぞ、そんなことしたらお前は元のお前じゃなくなる」 拒んだ。たとえようもなく惹かれる気持ちを押し殺して。 なのに、彼は晴れやかに笑うんだ。 「いいんだよ。確かに僕は元の僕じゃなくなるだろう、そして君も。 でもそれが今より良くないなんて、どうして思うの?」 なんのためらいもなく、白い手が差し出される。 「馬鹿、俺にさわるな」 「どうして?」 小首を傾げた。すべてを受け入れる柔らかな声。 「優しくされるのが怖い? ……僕は、君とひとつになりたい」 思わずよろめいた。言葉は、俺というかたくなな塊を溶かすのに十分な熱を秘めていた。 もはや虚勢は崩れた。俺は両手で顔を覆う。 「……お前を汚したくないんだ」 柔らかい肌が、そっと寄り添う。だめだ、だめだ、俺にさわっては…… 「僕は汚れることなんかちっとも構わない……ううん、汚れたなんて思わないよ」 彼は俺を包み込んだ。 俺の指が、頬が……すべてが、彼の中に飲み込まれていく。 暖かい体温に全身が溶かされていく。 ああ、そうだ、と遠い記憶がよみがえる。原始の記憶。形もなく、無垢で純粋だったあの頃…… もはや俺なのか彼なのか、その境は判然とせず、俺は彼の中に。彼は俺を中にはらんで。 彼の舌が淫靡な音をたてて俺を吸う。 「思ったとおりだ……君はとても、甘い」 口元をドロドロに汚して、恍惚とあえいだ。 ---- [[期間限定の恋>20-559]] ----

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