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永遠の3位争い
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あいつの一番は親父だ。
普段変わらない表情が父親の前じゃコロコロ変わる。
悩み相談なんてするたちでもないのに父の日にそわそわしながら近づいてきた時があった。
「なぁ……親父のプレゼント、何がいいと思う?」
頼られた嬉しさから顔が締まらないながらなんて返そうか思案する。
なんて聞かれたときにはお前の父さんなら何貰っても喜ぶと思うけど……って言いたい気持ちをグッと抑えて具体的なモノを考える。
「普段使うネクタイとかよくね?」
「それ、いいかも……」
なんて満面の笑顔で返すあいつにちょっと自尊心をくすぐられたりして。
いい気になって「だろー?」って緩みっぱなしの表情でじゃれついた。
長年の付き合いでわかってる……あいつの父親に嫉妬しても仕方ない。あいつの一位はたぶん一生変わらない。
その次がかわいい妹。
妹ちゃんには申し訳ないと本気で思っている。
というのも病弱で碌に外に出ることができない妹ちゃんと俺の妹は大親友だ。
俺の妹はすることがなくて暇だろうと妹ちゃんに本を渡した。あろうことに薄くて高いベーコンレタス的な本を。
最初と惑っていた妹ちゃんは、今では俺の妹とあいつが受けか攻めかで論争するくらいのレベルの豪者になっている。
妹のせいとはいえ、責任を感じた俺はあいつに妹ちゃんの趣味がばれないように協力しているがあいつは勘が鋭い。
ばれるのも時間の問題だろう。
この間不審そうに「おまえ……最近俺の妹と仲良いな」なんて勘繰られた。
妹ちゃんも似たようなことを聞かれたらしい。
そのことについて腐った笑みを浮かべながら感想を漏らした妹ちゃんに戦慄した。
「兄さんったら嫉妬しててかわいい」
あんな儚げな思慮深い美少女を邪の道に導いた俺の妹は罪深い。
そして……その次は。
「うまいか?」
口をもぐもぐ動かしながら頷くあいつがかわいい。
父親は仕事が忙しく妹ちゃんは病院。そのせいかあいつはよく俺の家に料理を食べにくる。
「……うまかった。ごちそーさま」
あいつの母親は妹ちゃんを産んだときに亡くなった。
そのせいかできあいの物より手料理――特に家庭料理――が好きらしくよく俺に作れとねだってくる。
「そりゃよかった……いきなりで悪いけど一つ質問良い?」
「ん? なんだ?」
食器を手にとって運んでる途中のあいつが振り返る。
「お前が一番好きな奴って誰?」
家族を除いての話だけどと付け足しながら聞く。
ガラスが割れる音と金属が落ちる音がする。食器が手から滑ったのだろう。
ガラスの破片も気にせずにあいつに近づき、向き合う。
まるでトマトみたいだ。髪や服で隠れている部分以外真っ赤になっている。
「で、誰?」
「え、ああ……いや、その」
いつになく歯切れが悪い。物影から親指を立てている俺の妹をちらちら見ながら意心地悪そうに俺から視線をそらす。
「身近に、いる人……だな」
身近にいる人……まさか、俺の妹か!
そういうことなら何度も視線を向けていたのにも納得だ。
「そっか」
そう言って背を向けるとあいつの安堵の息を吐くのがわかった。
だけど協力はできない。いくら妹でも負けられない。あいつの3位の座は尊いんだ。
にこにここっちを見る妹を睨みつけながら俺は妹と戦うことを決意した。
永遠の3位争い
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あいつの一番は親父だ。
普段変わらない表情が父親の前じゃコロコロ変わる。
悩み相談なんてするたちでもないのに父の日にそわそわしながら近づいてきた時があった。
「なぁ……親父のプレゼント、何がいいと思う?」
頼られた嬉しさから顔が締まらないながらなんて返そうか思案する。
なんて聞かれたときにはお前の父さんなら何貰っても喜ぶと思うけど……って言いたい気持ちをグッと抑えて具体的なモノを考える。
「普段使うネクタイとかよくね?」
「それ、いいかも……」
なんて満面の笑顔で返すあいつにちょっと自尊心をくすぐられたりして。
いい気になって「だろー?」って緩みっぱなしの表情でじゃれついた。
長年の付き合いでわかってる……あいつの父親に嫉妬しても仕方ない。あいつの一位はたぶん一生変わらない。
その次がかわいい妹。
妹ちゃんには申し訳ないと本気で思っている。
というのも病弱で碌に外に出ることができない妹ちゃんと俺の妹は大親友だ。
俺の妹はすることがなくて暇だろうと妹ちゃんに本を渡した。あろうことに薄くて高いベーコンレタス的な本を。
最初と惑っていた妹ちゃんは、今では俺の妹とあいつが受けか攻めかで論争するくらいのレベルの豪者になっている。
妹のせいとはいえ、責任を感じた俺はあいつに妹ちゃんの趣味がばれないように協力しているがあいつは勘が鋭い。
ばれるのも時間の問題だろう。
この間不審そうに「おまえ……最近俺の妹と仲良いな」なんて勘繰られた。
妹ちゃんも似たようなことを聞かれたらしい。
そのことについて腐った笑みを浮かべながら感想を漏らした妹ちゃんに戦慄した。
「兄さんったら嫉妬しててかわいい」
あんな儚げな思慮深い美少女を邪の道に導いた俺の妹は罪深い。
そして……その次は。
「うまいか?」
口をもぐもぐ動かしながら頷くあいつがかわいい。
父親は仕事が忙しく妹ちゃんは病院。そのせいかあいつはよく俺の家に料理を食べにくる。
「……うまかった。ごちそーさま」
あいつの母親は妹ちゃんを産んだときに亡くなった。
そのせいかできあいの物より手料理――特に家庭料理――が好きらしくよく俺に作れとねだってくる。
「そりゃよかった……いきなりで悪いけど一つ質問良い?」
「ん? なんだ?」
食器を手にとって運んでる途中のあいつが振り返る。
「お前が一番好きな奴って誰?」
家族を除いての話だけどと付け足しながら聞く。
ガラスが割れる音と金属が落ちる音がする。食器が手から滑ったのだろう。
ガラスの破片も気にせずにあいつに近づき、向き合う。
まるでトマトみたいだ。髪や服で隠れている部分以外真っ赤になっている。
「で、誰?」
「え、ああ……いや、その」
いつになく歯切れが悪い。物影から親指を立てている俺の妹をちらちら見ながら意心地悪そうに俺から視線をそらす。
「身近に、いる人……だな」
身近にいる人……まさか、俺の妹か!
そういうことなら何度も視線を向けていたのにも納得だ。
「そっか」
そう言って背を向けるとあいつの安堵の息を吐くのがわかった。
だけど協力はできない。いくら妹でも負けられない。あいつの3位の座は尊いんだ。
にこにここっちを見る妹を睨みつけながら俺は妹と戦うことを決意した。
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[[もう好きにして>20-469]]
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