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「どんな職業でもいい。ただ、自分に誇りを持てる大人になって欲しい。私の願いはそれだけだ」 そんな手紙を遺して去っていったな、あんたは。 本当は親父の友達だったとか、その親父を戦場で見捨てた罪滅ぼしに俺を引き取ったとか、そういうことに文句を付けたいわけじゃない。 むしろ感謝している。 それは親父が本当は生きていたからとか、その裏で身も心も削っているのに同情したとかじゃない。 あんたと暮らしていて、俺は幸せだった。 それを言いたかっただけなんだ。 俺、ちゃんと大人になったよ。 2人の親父の背中を胸に、胸を張って生きているよ。 なのに何で。 「大きくなったね。……前に会った時はほんの赤ん坊だったのに」 いなくなった時と同じように唐突に姿を表したあんたは、俺のことはこれくらいしか覚えていなかった。 もしまた会えたら、色々話そうと思っていたのに。 でも、親父と一緒に何の陰もなく笑うあんたを見ながら、俺は愛想笑いを続けるだけだ。
リセット ---- 「どんな職業でもいい。ただ、自分に誇りを持てる大人になって欲しい。私の願いはそれだけだ」 そんな手紙を遺して去っていったな、あんたは。 本当は親父の友達だったとか、その親父を戦場で見捨てた罪滅ぼしに俺を引き取ったとか、そういうことに文句を付けたいわけじゃない。 むしろ感謝している。 それは親父が本当は生きていたからとか、その裏で身も心も削っているのに同情したとかじゃない。 あんたと暮らしていて、俺は幸せだった。 それを言いたかっただけなんだ。 俺、ちゃんと大人になったよ。 2人の親父の背中を胸に、胸を張って生きているよ。 なのに何で。 「大きくなったね。……前に会った時はほんの赤ん坊だったのに」 いなくなった時と同じように唐突に姿を表したあんたは、俺のことはこれくらいしか覚えていなかった。 もしまた会えたら、色々話そうと思っていたのに。 でも、親父と一緒に何の陰もなく笑うあんたを見ながら、俺は愛想笑いを続けるだけだ。

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