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あぁ勘違い ---- 「目が覚めたか?」 耳元から聞こえる声に覚醒しきらぬ頭は事態を把握できない。 「あぁ悪いな、客布団ねぇんだよ。狭苦しかったか」 …えっと…そうだ、昨日は商談成立させた祝杯をってTさんのマンションで飲んだんだっけ。 「スーツ皺になるから掛けといたぞ」 あぁどうも。。 …って俺いつパジャマに着替えたんだ!? つーか客布団ないからってなんで一緒に寝てるんだよ! うぁああぁぁ~!ヤバいよ、ヤバい!どうしよう。 「くくっ…覚えてないのか?気持ちよさそうに寝てたもんなぁ。 着替えさせんのも大変だったぞ。」 ぇえーっ!じゃあ、あんなとこやこんなとこも見られちゃたわけ? 慌てる俺を見て事もなげに笑ってくれちゃってさ。 いつもと変わらぬ大人な余裕で…いつもと変わらぬちょっと悪ぶった態度で…。 マンションにまで誘ってくれて嬉しくて嬉しくて舞い上がっちゃって、 もしかしたらTさんも…なんて期待した俺はバカだ。 Tさんはいつも冷静で、ほんの些細な言動にも一喜一憂して翻弄されるのは俺だけで 、 なんかひとり酔っ払って身も心もぐるぐるしちゃって。 あ~ぁ、どうせ俺の勘違いですよ。 女にもてるTさんが俺なんか相手にしてくれるわけないよな。 「オイ、飯作っとくからシャワー浴びてこい。すっきりすんぞ。」 シャワーの言葉にもビクッとしちゃう俺の気もシラナイで。 「美味いか?やっぱ朝は味噌汁だよな。もっと食え」 なに?仕事できてかっこよくて、その上料理までできちゃうわけ? ドキドキして味なんかよく分かんないけど美味いに決まってるじゃん。 だけど…飯食う俺をそんな優しい目で見ないでよ。 ほら、また勘違いしちゃうじゃないか。 ----   [[「チラシの裏にでも書いてろ」>8-729]] ----

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