「8-699」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

8-699」(2011/04/27 (水) 21:05:58) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

恥ずかしいけど手を繋ぐ ---- 肩で荒く息を吐く。脳内が倦怠感とその吐息で埋められる。 正直、身体を重ねることに対しては何も不満はなかった。 それで一時でもお前を俺のものに出来るのならば。 一瞬でも、お前の目の中に俺が映っているのならば。 その場所にお前の愛情などなくても、お前が提案してきてくれたんだから良いと思った。 だけど、どうしてだろう。 10回目の逢瀬から、何かもやもやしたものが心に突っ掛かっている。 20回目の夜を越すと、それは喉元から出そうなほど内心を満たしてきていた。 俺はお前で満たされればそれで良いのに。一瞬でもいいから。 そう何度も言い聞かせて迎えた30日目の夜。 はぁっと大きな甘い吐息を吐き出して、虚ろな表情のお前が笑った。 その瞳には俺が映り込んで揺れていた。 緩慢な動作で繋がりを解いても、お前の目は俺に纏わりついて離れない。 甘く鋭い痛みを伴う視線。俺は顔を背けて、お茶のペットボトルを取ろうとベッドから腰を上げた。 「逃げンなよ」 伸ばされた手が俺の指先に絡んだ。呆然として振り向くと、やはりお前は笑んでいる。 「俺はようやく逃げられないって観念したのに」 指を弄ぶお前が喉で笑う。絡められた指を強く引かれて、俺は再びお前の隣に腰を下ろす。 喉先で滞留していた言葉にならない文字列が、沈黙の中互いの手のぬくもりで昇華した。 「本気の奴と最初につながりたいなら、アソコでも舌でも身体でもなく、まず手を差し出せよ」 「…だからカイは手を」 「それ以上言ったら明日骨折してても知らねーぞ」 ----   [[恥ずかしいけど手を繋ぐ>8-699-1]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: