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「…なによ」 「いや」 視線を感じて振り向いた俺に慌てる様子もなく、奴は少し不機嫌そうな顔で、首を傾げた。 「相変わらず、マッチョだなーと」 「悪いかよ」 「むしろ羨ましい」 俺、つかない体質だろ。そう言って、またふてくされたようにパソコンに向き直っている。 画面は流行りのネットゲーム。奴のアバターはガタイのいい狩人。 「なんでそんなにこだわるんだ?」 マッチョと称された俺的には、結構どうでもいいのだ。 部活をやってれば嫌でもつくが、正直バランスが悪い。着たい服も限られる。 こう挙げてみると、案外不満あるな。 そんな旨を語ると、奴は再び俺に向き直った。 「ガキに見られたくないのがひとつ」 あー。茶髪にしたら補導されかけたこともあったっけ。頷く。 「オタクだと思われたくないのがひとつ」 なるほど、ヒョロい=オタクだという世の偏見は根強いらしいからな。これも頷ける。 「で、一番はお前を抱きにくいこと」 なるほど、俺を……え? 同じように頷きかけて、俺はびたっと固まった。 奴は俺を見据えたまま、躊躇いもなく続ける。 「何度かやってみて分かった。…バリエーション試せないし、時々つらい」 「え、お、…あ、」 「ごめんな、イイって聞くヤツとか、いろいろやってみたいんだけどな」 …心底すまなそうに言われても正直困る! 最近ようやく慣れてきたばかりの、あれやこれやが脳裏に思い出されるあまり、 「…だだだだいじょ、うぶだ、…じゅうぶんきもちいいから!!」 思わず上擦った声で叫んでしまった事実と、 「よかった。んじゃ、こないだ物凄いことになったやつ、またやってやるからな」 喜びを満面に浮かべた奴の微笑みに、俺はただただ悶えるしかないのだった。
筋肉に憧れる小柄で華奢な少年が攻め ---- 「…なによ」 「いや」 視線を感じて振り向いた俺に慌てる様子もなく、奴は少し不機嫌そうな顔で、首を傾げた。 「相変わらず、マッチョだなーと」 「悪いかよ」 「むしろ羨ましい」 俺、つかない体質だろ。そう言って、またふてくされたようにパソコンに向き直っている。 画面は流行りのネットゲーム。奴のアバターはガタイのいい狩人。 「なんでそんなにこだわるんだ?」 マッチョと称された俺的には、結構どうでもいいのだ。 部活をやってれば嫌でもつくが、正直バランスが悪い。着たい服も限られる。 こう挙げてみると、案外不満あるな。 そんな旨を語ると、奴は再び俺に向き直った。 「ガキに見られたくないのがひとつ」 あー。茶髪にしたら補導されかけたこともあったっけ。頷く。 「オタクだと思われたくないのがひとつ」 なるほど、ヒョロい=オタクだという世の偏見は根強いらしいからな。これも頷ける。 「で、一番はお前を抱きにくいこと」 なるほど、俺を……え? 同じように頷きかけて、俺はびたっと固まった。 奴は俺を見据えたまま、躊躇いもなく続ける。 「何度かやってみて分かった。…バリエーション試せないし、時々つらい」 「え、お、…あ、」 「ごめんな、イイって聞くヤツとか、いろいろやってみたいんだけどな」 …心底すまなそうに言われても正直困る! 最近ようやく慣れてきたばかりの、あれやこれやが脳裏に思い出されるあまり、 「…だだだだいじょ、うぶだ、…じゅうぶんきもちいいから!!」 思わず上擦った声で叫んでしまった事実と、 「よかった。んじゃ、こないだ物凄いことになったやつ、またやってやるからな」 喜びを満面に浮かべた奴の微笑みに、俺はただただ悶えるしかないのだった。

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