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コスモス・時間旅行者 ---- 『――いつか、どこかで出会えるはずだから』 そう言って離した手のぬくもりを思い出す。 時間は差し迫っていた。 国は分裂し、同じ血で結ばれたはずの民族は 明日には武器と武器をつき合わせて睨み合う間柄に。 幼かった俺に、そんな事情を理解できるはずもなく ただ肩に置かれた父の手のいつにない力強さに震えていた。 あの人は最後も俺に笑いかけて、大きな手で俺を包んでくれた。 父は。 旧い名誉を重んじる家の跡継ぎとして、捨てるわけには行かなかった。 家を。そして俺を。 もしあの時、俺という存在がなかったら父はどうしていただろう。 何もかも捨ててあの人に着いていったんだろうか。 日々の糧も安寧すら保証されない放浪の旅に。 何度も父に問いかけようとして、口に出せなかった問いに 答えを出さないまま、今日父は逝った。 最後にかすかに動いた唇で呼んだのは誰の名前だったんだろう。 あの頃に戻りたいと願う。 時間を逆戻りして、昔に戻りたい―― あの人と父が笑っているところが見たい―― 今の俺であれば、きっと父を送り出すことができただろう。 自分の身だけでなく、他人も守れるほどの力で 笑って父の背中を押すことができるのに。 どうか死なないでくれと言って、二人を見送ることができるのに。 今日、父は逝った―― ----   [[コスモス・時間旅行者>8-459-1]] ----

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