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2人で一人前 ---- 「あんたなら、俺を“いかせる”と思ったんだよ」 「生命が惜しくないのか?」と問う俺に、 あいつはいつもそう言って笑ってかえす。 誰よりも速く、誰よりもワイルドに、誰よりも魅力的に、 風になる様に走らせたいが為に、俺が出す指示は危険極まりない。 本来コパイとしては許されない、ありえない奴だ。俺は。 分かっちゃいるのに、自分では走れない、このマシンを走らせることができない。 そんなドライブテクニックは俺には与えられなかった。 だからコパイの道を選んだ。些かの葛藤と、仄暗い感情と共に。 “ドライバー殺し”と言われる俺と組みたいという酔狂な奴。 絶妙なテクニックを持ちながら、勝てない男。 何で俺にはない技術を持ちながら、お前は今まで走れなかったのか。 その力が俺にあったなら、俺は風を見られただろう。 そんな嫉妬と葛藤に対し、奴は笑ってそう言った。 「あんたなら、俺を“いかせる”と思ったんだ」 あいつは言う。俺を道具に使えと。俺の望む走りを叶える道具にしろと。 俺はあいつを“行かせる”。風の中を、森の中を。 俺はあいつを“活かせる”。誰よりも速く、誰よりも魅せる走りを。 走らせる俺と、走るあいつ。 俺を、あいつを、誰よりも魅力的に“いかせる”舞台へ、 お前と共にいつまでも向かう。その笑いと共に。 ――― 車のレース(RALLY)のドライバーとコパイ(副ドライバー;ドライバーへの運転指示や 道指示などを出す役)のイメージです。 ----   [[破滅に向かう友人を止めようとする男>18-169]] ----
2人で一人前 ---- 「あんたなら、俺を“いかせる”と思ったんだよ」 「生命が惜しくないのか?」と問う俺に、 あいつはいつもそう言って笑ってかえす。 誰よりも速く、誰よりもワイルドに、誰よりも魅力的に、 風になる様に走らせたいが為に、俺が出す指示は危険極まりない。 本来コパイとしては許されない、ありえない奴だ。俺は。 分かっちゃいるのに、自分では走れない、このマシンを走らせることができない。 そんなドライブテクニックは俺には与えられなかった。 だからコパイの道を選んだ。些かの葛藤と、仄暗い感情と共に。 “ドライバー殺し”と言われる俺と組みたいという酔狂な奴。 絶妙なテクニックを持ちながら、勝てない男。 何で俺にはない技術を持ちながら、お前は今まで走れなかったのか。 その力が俺にあったなら、俺は風を見られただろう。 そんな嫉妬と葛藤に対し、奴は笑ってそう言った。 「あんたなら、俺を“いかせる”と思ったんだ」 あいつは言う。俺を道具に使えと。俺の望む走りを叶える道具にしろと。 俺はあいつを“行かせる”。風の中を、森の中を。 俺はあいつを“活かせる”。誰よりも速く、誰よりも魅せる走りを。 走らせる俺と、走るあいつ。 俺を、あいつを、誰よりも魅力的に“いかせる”舞台へ、 お前と共にいつまでも向かう。その笑いと共に。 ――― 車のレース(RALLY)のドライバーとコパイ(副ドライバー;ドライバーへの運転指示や 道指示などを出す役)のイメージです。 ----   [[花火大会>8-169]] ----

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