※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「8-069」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

8-069」の最新版変更点

追加された行は青色になります。

削除された行は赤色になります。

+死んだはずの君を見る
+---- 
+「何できゅうりやナスにぶすぶす割り箸を刺すのか、昔は分からなかったなぁ。
+多分こんなことにならない限り、理解しても納得出来なかったろう」
+そう言ってからやっと、久しぶり、と笑いかけてきた奴の顔を、俺はまじまじと
+見つめた。
 
+「なんだい、ちっとも嬉しそうじゃないな。来た甲斐が無いな」
+「いや、嬉しくないわけじゃない」
+むしろ泣きたいくらい嬉しい。
+しかしそうして涙を流せば、半透明のお前の輪郭は、ますます曖昧になって
+しまうだろうと思ったのだ。
+
+ぽつり、ぽつりと言葉を交わす俺とそいつ。
+お前、両親の所には行かなくて良いのか?
+先に行ったさ。それに僕は君といたいんだ。
+近況を語るのは俺だけで、そいつは相槌しか打たない。
+それが無性に寂しいが、世の理を曲げる術を、こいつも俺も持ち合わせている
+はずもなく。
+
+「なすを」
+「うん?」
+「箸の刺さったなすを、全て隠してしまえたら……お前が帰らずに済むように
+ならねぇもんかな……」
+
+至極奇妙な、夢だった。
+生きているはずの僕が死んでいて、死んだはずの君を訪ねる夢。
+しかも僕が君として、僕を迎える夢だった。なんて悪趣味な夢だろう。
+そうとも知らず今頃君は、君の家族のところにいるのだろうか。あのきゅうりの
+馬に乗って。
+そしてなすの牛に乗って帰るのだろうか。僕のところには寄りもせず。
+
+ひどく生温い風が吹く。まるで人に撫でられるような感触。
+僕は未だきゅうりやなすに箸を刺す行為に納得がいかない。
+
+----   
+[[大好きだけど、さよなら>8-079]] 
+----